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藤原議員

(問)教育現場における働き方改革について

1.市町村教育長会議では、市町村立小中学校の教員の多忙、多忙感の解消に向け、どのような議論がされ、どのような方向性でまとまったのか伺う。

2.市町村立小中学校の勤務実態調査結果の市町村教育委員会へのフイードバックを受けて改善が図られている安来市以外の市町村の良い具体的事例を伺う。

3.中学校・高校の部活動のあり方についての合意形成について伺う。

4.県立学校における、時間外勤務が月100時間を超える場合の教育職員への医師の面接指導の対応について伺う。

5.県立学校では、平成28年度と29年度の月100時間超えの実態は改善されてきたのか伺う。

6.県立学校における月100時間超えの時間外労働の削減対策について伺う。

7.普通高校の時間外平均が月67.9時間は多すぎると思うが、他県の実態等からして、現実的に削減できる時間外勤務について伺う。

8.年次有給休暇の取得日数に関する県立学校での取組について教育委員会の見解を伺う。

9.県立学校において長期休業期間に学校閉庁日を設定する際、地域・PTAに要請し理解を求めることについて、考えを伺う。

10.県立学校における休日や緊急時等の対応について、現状を伺う。

 

 

(答)教育監

1.教育現場における働き方改革について都合10点のご質問をいただきました。順を追ってお答えします。

 先ず1点目、市町村教育長会議における教員の多忙・多忙感解消に向けての議論と方向性についてであります。

 今年4月26日に開催されました市町村教育長会議において、「教育の質の向上と働き方改革」について意見交換が行われました。

 そこで取り上げられた多忙・多忙感解消に関する話題といたしましては、

 ・学校行事や職員会議等の見直し

 ・校務分担の適正化

 ・時間外勤務縮減への工夫

 ・完全休養日の確保

などがございまして、そういった話題に加えて管理職をはじめ、教職員の意識改革の必要性についても指摘がありました。

 また、意見交換の中で、ある市町村では約一年間の検討を重ねて、「多忙化解消プラン」を策定し、改善に取り組んでいると、そういう報告もありました。

 教職員の働き方改革を進める方向性としては、つまるところ「教職員のワーク・ライフ・バランスを図っていくことが大切であり、それが、ひいては島根の子どもたちに質の高い教育を提供する基盤となる」そういう基本認識のもとで、教育委員会や学校現場の工夫よって、実施できる地道な取組を一つ一つ着実に積み重ねていくことが必要である、大切であると確認いたしました。

 

2.2点目、勤務実態調査の結果を受けて、各市町村において改善が図られた事例について、お答えいたします。

 県立学校で実施している出退勤状況の調査方法を、様式も含めてCD‐ROMにより各市町村に配付いたしました。そうしましたところ、現在多くの市町村で活用、導入されています。

 また、既にタイムカードを設置した、あるいは試行的に数校に導入したという市町村もございまして、時間外勤務の実態把握の精度が高まりつつある状況である、ととらえております。

 その効果として、校長が時間外勤務の多い職員と面談して改善策を具体的に検討できるようになったとか、あるいは教職員自身の勤務時間に対する意識が以前より高まってきた、そういう声も聞こえてきております。

 学校現場で改善が図られた具体的な事例といたしましては、例えば

 ・学校行事を見直して廃止や縮減等の思い切った検討をする。

 ・職員会議等の校内会議については、終了時刻を必ず設定し、資料配付を事前に行い、質問や意見を用意した上で参加する。

 ・校内文書や会議資料を簡略化する。

 ・児童生徒の完全下校時刻を引き上げる。

 ・定時一斉退校日や部活動休養日を設定する。

 ・夏季休業中の学校閉庁日を設定あるいは拡大する。

ことなどが挙げられます。

 今後は、こうした工夫・改善の取組が県内さまざまな市町村に広がっていくことを期待しております。

 

3.中学校・高等学校の部活動の在り方についての合意形成についてでございます。

 島根県教育委員会では、昨年8月、部活動の在り方検討会を設置し、各校種間の関係する組織の代表に参画をいただき、これまで5回にわたり、望ましい部活動の在り方と実行可能なガイドラインの策定に向けて検討を重ねてきております。

 この間、県の実態調査の結果や3月に策定された国のガイドラインを参考に、部活動の休養日や活動時間の設定を中心に議論していただきました。

 6月14日に開催しました直近の検討会では、中学校の休養日は週当たり2日以上、活動時間は平日2時間程度、週休日3時間程度とし、一方、高等学校の休養日は週当たり1日以上、活動時間は平日3時間程度、週休日4時間程度を原則とする、そういった方向性が示され、休養日や活動時間の基準がまとまりつつあります。

 一方で、そういった基準を念頭に入れながらも、学校現場が理解し、ガイドラインを守っていくためには、例えば合宿ですとか大会前とか、特別な場合の対応も必要である、そういった意見も示されておりまして、これら個別具体的な対応についても現在検討が進められている、そういう状況でございます。

 

4.県立学校における、時間外勤務が月100時間を超える教育職員に対する、医師の面接指導についてであります。

 県教育委員会では、県立学校において月100時間を超える時間外勤務を行った教育職員が、医師による面接指導を受けやすくするような制度運用の在り方等について検討を進めて参りました。

 そして、学校側の意見も踏まえ、今年の4月から月100時間を超える時間外勤務を行った教育職員について、学校長が学校管理医に対して長時間労働の実態に関する情報を提供することと致しまして、その上で、学校管理医が健康管理上必要だと認める教育職員に対して、面接指導を受けるよう学校長を通じて勧奨することと致しました。

 今後は、この面接指導の勧奨が県立学校に定着し、有効に機能するかどうか、しっかりと検証していきたいと考えております。

 また、今年度から、県教育委員会の保健師が各県立学校を訪問し、学校長や学校管理医と連携しながら、職員の健康管理対策を進めることと致しました。

 こうした保健師による学校訪問や臨床心理士の巡回相談などの機会を通じて、健康管理上注意が必要な教育職員に対しては積極的に面談を行い、そして、医師による面接指導につないでいきたいと、このように考えております。

 

5・6.次に、5点目、6点目は、いわゆる月100時間超えの実態および削減対策についてのご質問ですので、あわせてお答えをさせていただきます。

 まず実態として、ご質問の平成28年度と29年度を比較いたしますと、月100時間を超える時間外勤務を行った教育職員の全教育職員に対する割合は、平成28年度12.1%、平成29年度10.7%と、1.4ポイント低下しており、この点では、わずかではございますが一定の改善が見られます。しかし、依然として実数600人近くの教育職員が月100時間超えを経験しておりまして、更なる改善が求められます。

 次にその削減対策でありますが、まずは管理職がそのような長時間の時間外勤務を行った教育職員の、その勤務実態や長時間勤務の原因を正確に把握し、校務分掌の見直しや他の職員からの支援を検討するなどの改善策を講じる、そういうことが求められます。

 その上で各学校においては、学校全体として校長のリーダーシップの下、各学校の課題や実情に応じて、校務分掌の適正化・平準化や定時退校日を設定するなど、個別具体的な業務改善に向けた取組、そういったものを一つ一つ着実に積み重ねてもらいたいと考えています。

 県教育委員会といたしましても、さきほどもお答えいたしましたが、長時間勤務の大きな要因となっている部活動指導、こういったものの在り方や改善の方向性について、関係者の合意形成を図っていく、それとともに、学校への調査・照会等の内容や形式等を改善するなど、いわゆる事務負担の軽減、そして、教職員定数の制約という構造的問題についても、改善に向けて引き続き粘り強く取り組んでいく必要があると考えております。

 

7.7点目、普通科高校において現実的に削減できる時間外勤務は、他県の実態からしてどれくらいと考えるか、というご質問についてであります。

 まず他県における時間外勤務の状況については、普通高校、専門高校というふうに校種別に公表されているものが極めて少のうございまして、1月当たりで比較できるものとしては、福岡県の普通科高校が約74時間、それから岡山県では普通科高校に専門高校を加えた高等学校全体で約73時間という実態情報の入手にとどまりました。

 一方、私ども県教育委員会が今年5月に普通科高校7校を抽出して行った調査によりますと、平成29年度における月当たりの時間外勤務は、77.6時間と、さきほどの福岡、岡山に比べても若干高い数値でございました。

 こうした実態を踏まえて、現実的に削減できる時間外勤務がどの位であるか、これにつきましては、各高校によって事情がかなり異なって参りますので、校長とも意見交換を行い、現場の状況を踏まえつつ検討してまいりたいと考えています。

 なお、県教育委員会としては、教職員の多忙・多忙感の解消及びワーク・ライフ・バランスの適正化を図るために、今後「教職員の働き方改革プラン」の策定を進めてまいります。学校現場にとって、より良いプランとなるよう、様々な角度から検討していきたいと考えております。

 

8.8点目、県立学校における年次有給休暇を取得しやすい環境づくりについてであります。

 県教育委員会が今年5月に抽出で行った勤務実態調査によりますと、平成29年における一年間の年次有給休暇の平均取得日数は、高等学校9.4日、これ10校抽出でございます。特別支援学校11.6日、これ6校抽出でございます。議員からご提案のあった15日程度の取得には至っていないという状況でした。

 年次有給休暇につきましては、毎年県教育委員会から各県立学校長あてに、年次有給休暇等の計画的取得の促進について、という形で通知しておりまして、今年6月の通知においても、年間の目標取得日数を13日といたしまして、併せて「夏季休業中における学校閉庁日の設定」についても明記しております。

 各学校では、教員が休暇を取得しやすい時期、例えば先ほどの学校閉庁日や、部活動のない定期試験の期間や大会の終了後、あるいは学校行事のない期間などに、管理職が職員に、しつこいほどに休暇取得を呼びかけるなど、休暇を取得しやすい雰囲気や環境づくりに取組んでいます。

 なお、今後に向けては、先ほど述べた「教職員の働き方改革プラン」を策定する中で、目標取得日数の見直しなど、休暇を取得しやすい環境づくりに向けた取組についても検討してまいりたいと考えております。

 

9.9点目、県立学校における長期休業期間の学校閉庁日の設定と、地域・PTAに理解を求めることについてでございます。

 長期休業期間の学校閉庁日を設定することについては、大きく二つのやり方があります。一つは全県一律に期間を定めて行う、そういう方法ともう一つは、各学校で独自に期間を定めて行う方法、この二つです。

 県立学校では、夏季休業中の8月と言いますと、例えば就職に向けた準備活動が本格化したり、大学や専門学校の入試のための補習や模擬試験、面接指導、そういったものが行われたり、さらに学園祭をはじめとする学校行事のための準備調整作業や、あるいは各種の校外実習、そういったものが行なわれたりするなど、各校種で状況がかなり異なってまいります。そのため、一律に期間を定めて学校の業務機能をゼロにすることについては、なかなかにハードルが高いと、そういうふうに考えられます。

 このような事情から、県立学校における長期休業中の学校閉庁日の設定につきましては、現状では、その期間を含めて各学校が主体的に判断する、ということにしております。

 ご質問のあった、学校閉庁日の設定を含む教育職員の適正な勤務管理については、議員ご指摘のとおり、PTAや様々な学校支援組織等の活動を通して、保護者や地域へ協力を要請していくことが必要でございます。先ほど述べた「教職員の働き方改革プラン」の検討においても、保護者や地域への周知と理解を得ながら進めていく、そういう視点を持って、よりよい働き方改革につなげていきたいと考えております。

 

10.最後に、県立学校の休日や緊急時の連絡対応についてでございます。

 平成30年6月時点において、県立学校で議員ご指摘の留守番電話を設置している学校は47校中10校でありましたが、留守番電話の設置にかかわらず、休日や時間外における緊急連絡については、各校で保護者に緊急連絡先を周知するなどの体制が整えられています。

 また長期休業中に学校閉庁日を設定する場合には、日直等を置くなど各校で緊急連絡に対応できる体制を確保することとしています。

 なお、その休日や時間外あるいは学校閉庁日の緊急連絡のあり方については、各学校で緊急連絡を担う教職員の負担、そういうものも考慮する必要がございまして、働き方改革の視点からも、今後検討が必要であると考えています。

 

 以上10点、さまざまな観点から教職員の働き方改革についてご質問をいただきました。県教育委員会といたしましては、本日いただきましたご質問の趣旨も踏まえながら、「教職員の働き方改革プラン」の策定を進め、学校現場の業務改善、意識改革を図りつつ、今後も教職員の多忙・多忙感の解消に粘り強く取り組んでまいりたい、そのように考えております。以上でございます。

 


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