李承晩ラインの宣言は、日本の漁業関係者にとって、長く、つらい「苦難」の道のりの始まりだった。状況は、半世紀以上が経過した今なお変わらず、いら立ちを抱える日々が続く。
 竹島(韓国名・独島)へは、1905年に島根県に編入される以前から、隠岐島民らが渡り、長い間アシカなどの漁労をしてきた。ところが、突然の李ラインの設定で、状況は一変。65年に日韓基本条約と日韓漁業協定が結ばれるまでの間、300隻を超す日本漁船が韓国側に拿捕された。うち、島根県の漁船は11隻で、114人の乗組員が連行された。
 同協定締結後も、竹島の領有権問題が棚上げされたあおりで、韓国が海洋警察を常駐させる同島周辺から、日本漁船は締め出されたまま。漁業資源の保護をうたった国連の海洋法条約発効に伴い、99年には新日韓漁業協定が締結され、周辺海域は両国が共同管理する暫定水域に含まれたが、韓国が同島の実力支配を続ける影響で、12カイリ以内に近づくことができない。
暫定水域内の水揚げが4分の1に
 竹島周辺以外の暫定水域内でも、被害は深刻だ。ベニズワイガニ漁では、韓国漁船の漁具が張り巡らされているため、日本側の漁船は容易に入り込めない状態。島根県の漁船の場合、同水域での昨シーズンの水揚げ量は、条約締結前の4分の1に当たる約1000トンに減った。
 さらに、暫定水域内の資源の減少によって、日本の排他的経済水域(EEZ)内に、韓国漁船が違法に漁具を設置するケースが増加。99年に2件だった、そうした漁具の押収は、2004年に31件まで増えている。
 暫定水域の操業ルールの統一などを両国の水産業界組織同士で交渉してきたが、難航。05年5月にスタートした政府間の水産資源協議も、具体的な内容は明らかになっていない。
 一刻も早い事態の打開を望む島根県は国に対し、当面は暫定水域の漁業秩序確立を求めつつ、抜本的な解決策として、竹島の領土問題の決着とともに、排他的経済水域の境界画定と暫定水域の撤廃を図るよう要望している。



フォトしまね2006年161号
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