昨年の2月定例島根県議会において「竹島の日を定める条例」が可決されました。この条例は、竹島の領土権確立に向けて、本県が長年、国への要望活動を行ってきたにもかかわらず進展がなく、このままでは「竹島問題」が風化してしまうことから、国民世論の啓発を図り、国における積極的な取り組みを促したいという多くの県民の願いにより制定されたものです。
 竹島については、日韓両国がそれぞれ自国の領土であると主張していますが、韓国が一方的にいわゆるしょうばんラインを設定した1952年以降、多数の日本漁船がされるなど、韓国による実力支配が続いています。この困難な問題を解決するためには、まず歴史を正しく検証し、互いの主張は主張として理解した上で、理性的に議論を進めることが重要であると考えます。
 私は、こうした議論を進めていくための土台づくりが必要であると考え、専門知識を有する方々による「竹島問題研究会」を設置しました。この研究会では、竹島問題に関する客観的な研究・考察や、日韓両国の主張を体系的に整理するとともに、韓国の研究者との意見交換などによる相互対話も進めていただきたいと考えています。
 もとより領土問題は、すぐれて国家間の問題であり、両国の外交努力により平和的に解決されるべきものです。このため、国に対しては、国民の理解を深める取り組みや、粘り強い外交努力をお願いするとともに、国際司法裁判所に判断を仰ぐべきではないかとの提案も行っているところです。
 本県と韓国・慶尚北道は、互いに竹島が自らの管轄下に属していると主張している自治体同士ですが、この点は互いに承知した上で、深く長い交流をいしずえ とし、1989年に姉妹交流の契りを交わしました。以来、さまざまな交流や協力活動を行い、互いの信頼関係を築いてきました。両県道を中心とした日韓の交流は、一層活発になされることが歴史の流れであり、我々の責任でもあると考えます。私は、自治体間の交流と領土問題は切り離して進めていくべきであり、交流はさまざまな主体により幅広い分野で続けていきたいと呼びかけてきましたが、竹島の日の条例制定に伴い、慶尚北道から本県との姉妹提携を撤回するとの声明が発表されました。極めて残念なことでありますが、私はこの条例の制定を契機に、日韓両国が是は是、非は非として、冷静に議論し、理解を深めながらこの問題の解決を目指すことが、真の親善交流にもつながると信じており、本県から慶尚北道との姉妹交流を断つことは一切考えていません。終始一貫、「誠」を持って接したいと思います。
 現状では、友好関係の改善には時間がかかると思われますが、県内では、韓国の学校との交流の再開や、県内企業と韓国企業が合弁会社を設立するなど、うれしい動きもあります。国と国との外交交渉の進展に期待するとともに、県としては、幅広い交流により相互信頼に基づく友好関係を創り上げたいと考えております。
 この「フォトしまね」が、竹島問題の早期解決と国際協調の重要性を考えていただける契機となりますよう願います。

島根県知事 澄田信義



フォトしまね2006年161号
INDEX「竹島の日」に寄せて〜澄田信義知事竹島とは―
日韓両国の主張: 論点整理 序章論点整理 古代から近世へ論点整理 近世から近代へ論点整理 近代から現代へ
写真で見る「竹島の記憶」竹島問題研究会・下條正男座長に聞く比較/日韓両国の教科書漁業を取り巻く諸問題
漁業関係者インタビュー「証言」〜関係者の思い「受け継がれる絆」〜交流にかける県民の声島根県と朝鮮半島の交流の歩み
竹島・北方領土返還要求運動・島根県民会議のメッセージ関係書籍の紹介日韓親善物語、意見募集「大日本海陸全図」