21世紀はこうなる、その時島根は
勝部領樹さん 勝部領樹(かつべりょうじゅ)さん
昭和6年、佐田町生まれ。青山学院大学卒業後、昭和29年、NHKlこ入局。郷里の松江放送局を振りだしに、主に東京社会部記者として活躍。同52年から「ニュースセンター9時」キャスター、同54年から「NHK特集」リポーター。この間、南極テレビ中継取材団長も務める。同63年からNHKエンタープライズ21のキャスター。現在は、同社顧問。「南極取材記」「日本の条件・食糧」など著書多数。


新世紀への強力サポーター・
情報通信技術

急成長する情報通信技術
 島根をはじめとする「地方圏」にとって、21世紀には、これまでにない強力な援軍が現れます。それは新しい情報通信技術です。
 20世紀後半に急成長した電子技術によって、いまやあらゆる大中小のコンピューターと、地上や宇宙に縦横に張り巡らされる多様な通信回線とが結ばれます。この巨大な情報ネットワークは、さらに拡大し続けます。茶の間のテレビも、個人の携帯電話もすべて組み込まれ、24時間、内外を問わずどこでもだれとでも、すぐにつながる時代が現実のものとなってきました。
 中国山地の村であれ、隠岐の離島であれ、例えばテレビの場合、単に内外のニュースや天気や娯楽番組を受信して見るだけではありません。近々、電話やパソコンの代わりに使う便利な発信の道具として、買い物の注文や支払い、旅行の予約、遠くの医師との対話、株価の同時速報、文字データなど、すべて居ながらにして可能となります。交信の仕方も、高齢者でも小学生でも簡単に使いこなせるように改良されつつあります。通信料金もさらに安くなっていきます。加えて島根の魅力ある情報を、映像や音声を駆使して、国内や世界にいつでも発信できます。

島根の魅力に自信を持とう
写真
出雲大社境内遺跡で、公開された宇豆柱をひと目見ようと、大勢のファンが詰めかけた発掘現場
 これまで島根や山陰では、大都市との間の交通、物流、情報交換には、長距離という厚い壁があるとの先入観があったのではないか。しかし、これから情報通信に関しては、地方と都市、さらに世界との間の格差は、完全に超距離のゼロとなります。この最新鋭の技術を最大限に活用して、島根に新しい活力を生み出すことは、楽しい夢ではありませんか。
 では、外に向けて発信できる島根の魅力とは何か。21世紀には、時代も社会も人間の価値観もめまぐるしく変わるとしても、その中で変わってほしくない島根の個性こそ、その答えの一つです。それは、他に見ることができないほどの自然環境資産と人間味と歴史風土です。まず、島根県人自身がそこに自信と誇りを持つことから、すべては始まります。
 あの荒神谷や加茂岩倉の山肌から、多数の銅剣・銅矛・銅鐸が2千年の眠りから覚めて掘り出された時、私は東京の知人たちの前で胸を張りました。−近代開発が及びにくかった出雲の山地が、かえって古代史を密封保存する“土のタイムカプセル”の役目を果たした。新世紀にも何が現れるか見ものだ−と。出雲大社の高層宮殿説を裏付ける三本組み巨柱の発掘もあって、島根の古代史への外からの関心は急上昇中です。
 その島根の地はまた、乱開発に縁遠かった結果として、緑豊かな広大な自然と日本海という環境資産が見事に残されています。狭い国土の日本にとってまさに未来への遺産です。それを失ってしまった大都会の住民にとっては、かけがえのないオアシスとなります。

外のパワー受け入れ、魅力発信
写真
ブナ林が残る大万木山
 この恵まれた県土の上に、古代より勤勉な人々の手で築かれたさまざまな産業がありますが、21世紀にはそのより良い脱皮も必要です。コメプラスアルファの多様な幸を生み出す農産業、環境保全型のハイテク、ソフトの研究開発拠点、そして都市住民に本物の憩いの場を提供できるサービスなど。これらを展開できる空間は、幸い広々と残されています。
 ただ、全国一の高齢化と人口減少の島根では、未来の活性化のために外のパワーが不可欠です。都市の若者たちを農漁村のサポーターに、また世界トップクラスの消費者パワーとすぐれた企業の知恵を強力なパートナーとして呼び込みたい。その切り札が「住んで働いてみたい島根」の魅力を十分感じさせる情報の発信です。そのためにも、人間味と美しい大自然が変わることのない島根に、さらに総力を挙げて磨きをかける価値があるのです。

[ 勝部 領樹さん田渕 久美子さん佐々木 正さんTopPage]