シマネスク55号
知事対談 「島根の国際化と人づくり」について語る
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国際化と人づくり

日本・アジア・北米・欧州主要港をカバーする世界最大規模の海運会社商船三井コンテナ船「MOL Efficiency」
知事
 島根県は国際化のために北東アジアを中心に自治体同士の交流も進めております。最初に韓国の慶尚北道(けいしょうほくどう)と姉妹提携し、続いて中国の吉林省(きつりんしょう)、寧夏回族自治区(ねいかかいぞくじちく)、そしてロシアの沿海州(えんかいしゅう)です。最近ではアメリカのテキサス州と交流を始め、先端産業であるナノテクノロジーなどを導入して島根県で新しい産業起こしを進めております。また港に関しては、浜田港(はまだこう)の定期国際コンテナ航路の安定的な運航が図られるよう努力しておりますが、何かご助言をいただければと思います。
芦田
 浜田港と当社は、実は昔から関係があります。当社は大阪商船と三井船舶が合併した会社ですが、大阪商船ができた明治17年に山陰航路で浜田に寄港しているんです。その浜田港は韓国の釜山とは非常に近い距離です。釜山は取扱高で香港、シンガポール、深せん(しんせん せんは土扁に川)、上海に次ぐ世界で5番目の港で、北米、欧州、中国にも行くハブ港ですから、そこに浜田がくっつくことになれば将来面白いと思います。また浜田のほぼ真北がウラジオストクになりますから極東ロシアや、釜山を起点とした韓国向け、中国向け、あるいは北米、欧州向けといろいろな展開があると思います。
知事
 確かに、島根県の地場産業として西部で非常に大きな役割を果たしている「石州瓦(せきしゅうがわら)」は浜田港から釜山へ行き、釜山から台湾へ運ばれています。また最近注目しておりますのが、津和野(つわの)周辺で減農薬減化学肥料で作ったおいしい米を「西いわみヘルシー元氣米」と称して台湾へ輸出し始めたことです。非常に高い評価をいただき、国の新たな農業振興施策の一つにも選定されました。米に続いて干し柿やわさびなどの農産物も外に打って出る取り組みを始めています。
芦田
 島根の米は東京や関西へも出荷されたら競争できますよ。日本酒「李白(りはく)」の社長は同級生だということもあって、私は東京でも置いてあるところでは「李白」を指名しますが、確かニューヨークにも輸出していてなかなか頑張っています。 4月下旬から5月上旬の開花期は全国からの観光客で賑わう大根島(松江市)
知事
 島根の物産を販売する「にほんばし島根館」を東京の日本橋三越の真ん前に作りましたが、人気がありますよ。
芦田
 実際に行った人から評判を聞いていますが、私はまだ行くチャンスがなくて…。近いうちに孫を連れて行こうと思っています。
知事
 ぜひお立ち寄りください。島根の産物がいっぱいですから、ふるさとの香り懐かしいという感じもあると思います。また米や酒のほかにも、今年1月松江のお菓子屋さんが商工会議所と一緒になって松江の和菓子をニューヨークで売ろうという催しをして非常に好評でした。中海(なかうみ)に浮かぶ大根島(だいこんしま)はボタンの生産量日本一なんですが、ボタンは抑制栽培や開花促進技術が発達しましたから、中国へ輸出したり、ニューヨーク、パリ、ロンドンなど海外の公園にボタン花壇を作る取り組みなどを展開していて、海外進出もいろいろ頑張っております。
芦田
 起業家精神にあふれた方がたくさんいらっしゃいますね。ふるさとには伸びてほしいという気持ちでいっぱいです。やはり島根は「人」でいかなくてはいけないと思います。そこで、一つ知事にお願いしたいことがあります。以前島根県はセンター試験で全国10位くらいでしたが、ゆとり教育が始まってここ3年連続45位です。私の孫は小学3年ですが週2回夜遅くまで塾へ通っています。つまり学校ではゆとり教育でも別のところでやっているんですね。島根では私的部分で補完する機能を東京と同じようにはできませんから、公の教育できちんとやっていただきたいと思います。
知事
 おっしゃるとおりです。島根県は人口が少ないですが、だからこそ人は宝で、人材の養成をやらなければいけません。芦田さんの母校松江北高には私の末っ子も通いましたが、先生が熱心で課外授業も積極的にやってくれたことに非常に感心しました。例えば、島根県へ中央の官庁から職員が来てそのお子さんが島根の高校へ入ったとします。そして再び転勤で東京へ帰っていく場合、お母さんと子どもはそのまま島根の高校へ残るというくらい県内の高校教育に対する信頼感があるわけです。しかし、最近なぜセンター試験の全国平均点が悪いかといえば二極分化だということで、さらに原因は突き詰めなければいけませんが、教育水準をもっと上げていくことが大切だと思っています。

「人」の島根

芦田
 私どもも「人」の商船三井にするために会社でも教育していかなければと思っていますが、島根はとにかく「人」と「観光」です。
知事
 そうですね。「人」と「観光」が島根の生きる大きな一つの道だと思います。「神々のふるさと」と言われる島根にはすばらしい伝統文化と自然がありますから、観光のもとになるものを磨いていく必要があります。また、ブルーツーリズムやグリーンツーリズムなど農村体験を都会の人が珍重する時代ですから、島根では「田舎ツーリズム」と総称して試みを進めております。「出雲国風土記」にもその名を残す海潮温泉(雲南市)
芦田
 島根にはいい温泉もたくさんありますからね。一昨年でしたか私の還暦の集まりは玉造(たまつくり)温泉、おふくろの米寿の祝いは海潮(うしお)温泉と同時期に二つの温泉を渡り歩きましたが、やはり温泉の質がとてもいいですね。
知事
 肌にまつわりつくようないいお湯ですからね。温泉のほかにも日本酒、お菓子、海の幸山の幸、宍道湖七珍(しんじこしっちん)などいいものにたくさん恵まれています。
芦田
 宍道湖七珍の頭文字を取ると「スモウアシコシ」になると教わりましたから、私も社員に偉そうに教えてやるんですよ(笑)。
知事
 味覚だけではなく野鳥の宝庫でもある宍道湖・中海は、今秋には「ラムサール条約」に登録したいと思っております。そして石見銀山(いわみぎんざん)の世界遺産登録は平成19年を目標に取り組み、これは射程距離に入ったと思っております。また出雲大社の東側に平成19年完成予定の古代出雲歴史博物館を建設中で、国宝級のものを展示すると同時に、子どもたちの教育にもプラスになるよう神話伝説も含めて、我々の祖先が何を考え国づくりをしたのかが分かるようにしたいと思っています。
芦田
 出雲地方には昔から「国引(くにび)き神話」が言い伝えられていますが、この国引きの「国」は朝鮮半島だということを聞いたことがあります。それほど気宇壮大な気概を島根県人が持っていたということですよね。
知事
 その当時から環日本海交流をやっていたということになりますね。
芦田
 繰り返しになりますけれど、島根はやはり「人」ということに尽きると思います。75万人と人口は少ないですけれど、質を高めて人口数以上のものを島根県から出す、あるいは島根県にそういう人たちが残る、そうすればさらにいろいろな人が島根県に引き付けられてやって来るはずです。ですから知事が今お進めになっている韓国や中国、テキサスなどとの人や物の交流でやっていけると思います。そのためにはまず教育によって質を高めることが大事ですが、タクシーの運転手さんが海運についていろいろ質問してこられるほどの県ですから、その素地はもう充分あると思います。
知事
 いろいろお話しいただき大変参考になりました。芦田さんもぜひまた島根にお帰りください。
芦田
 はい。温泉に入りに帰らねばと思っています。
知事
 今日はお忙しいところ時間を取っていただき本当にありがとうございました。
芦田氏と澄田知事
宍道湖、中海両湖の条約登録を目指しています
ラムサール条約
 昭和46年、イランの都市ラムサールで、水鳥と湿地に関する国際会議で採択された「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」は都市名にちなみ「ラムサール条約」と呼ばれています。湿地およびそこに生息、生育する動植物を国際的に保全し、賢明に利用することを目的としています。日本は昭和55年に加盟し、現在13カ所が登録されています。島根県では、今年11月、アフリカ・ウガンダで開催される、第9回ラムサール条約締約国会議において、宍道湖、中海両湖の条約登録を目指しています。

●宍道湖七珍
 汽水湖の宍道湖で獲れる魚介類の中 から生まれた独特な郷土の味覚。
 七珍の頭文字を並べると「スモウアシ コシ」と語呂合わせができ覚えやすい。
「スモウアシコシ」
 ス…スズキ
 モ…モロゲエビ
 ウ…ウナギ
 ア…アマサギ(ワカサギのこと)
 シ…シラウオ
 コ…コイ
 シ…シジミ

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