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美味お国自慢

津和野の芋煮 津和野の山々が紅葉するころ、
地元で受け継がれてきた芋煮の季節が到来する。

島根県の西部、津和野町で秋の郷土料理として古くから親しまれている「芋煮」にスポットをあて、その味わいとともに、背景に見えてくる庶民文化にも迫る。

津和野の郷土料理

津和野の秋を飾る風物「里芋とあぶりコダイ」
 津和野旅館組合を代表して取材協力していただいた「のれん宿 明月」のご主人池田和哉さんによると、郷土料理には三つの条件が必要という。それは、@歴史的条件A社会的条件B地理的条件の三つ。このすべてを満たしている津和野町の郷土料理の一つが ”芋煮“ということだ。
 そして、郷土料理に必要不可欠なのが、魚(主に鯛などの高級魚)。四方を山に囲まれた津和野町で魚とは意外だが、古くから栄えた土地というだけあり、魚の行商ルートが発達していたため、日常的に海の幸が運ばれていた。もともと、”山陰の小京都“と呼ばれるほど、深い歴史を刻む津和野町。こういう面でも、京都と似た文化を歩んできたようだ。
 島根県有数の観光地という華やかなイメージとは別に、”芋煮“など素朴な郷土料理に代表される庶民文化が形成されてきた津和野町。郷土料理を味わうことが、深く津和野町の文化を理解する手だてとなるだろう。

”芋煮“考

里芋には、古くから笹山地区の里芋が使われてきたが、現在では津和野の至る所で里芋が作られている。
  ”芋煮“を作るうえで欠かせないものが里芋。津和野町では、エビイモと呼ばれる細長い形状の里芋が一般的に使われている。この里芋、津和野町の秀峰・青野山のふもと、笹山地区産が特に有名。青野山の栄養豊富な火山灰土質で育まれた里芋は、津和野の山々が紅葉に染まるころ、きめ細かく淡泊で、腰のある素晴らしい里芋として育つ。
 さて、鍋の中で里芋のベストパートナーになるのが、小鯛。小鯛特有のシンプルな味が津和野の里芋によく合う。この小鯛はあぶったものが使われ、初秋ともなると、この地方の食料品店の店頭には、芋煮用のあぶり小鯛が並び始める。
 食材がそろったところで、調理法をみてみよう。「明月」の先代主人で、和哉さんの父が遺した『津和野・四季の味』によると、「里芋は、一度ゆで上げ、あくを流した後、コンブだしで気長くとろ火で2時間から3時間煮含める。別に小鯛のあぶったものを求めて身をほぐしておく。芋が十分柔らかくなったとき、鯛の身を加え塩、薄口しょうゆ、みりんで味を整える。味加減は好みで結構だが、吸い物の味をやや濃いめに味わえるくらいがよろしい。」と記されている。
 食材がシンプルなだけあって、素朴な風味が魅力の”芋煮“。出来立てのサラっとした”芋煮“と一晩おいて食するドロっとした”芋煮“。それぞれの好みで食される”芋煮“。このようにさまざまな流儀が通用するシンプルな味には、さっぱりした辛口のお酒がよく似合う。秋の津和野をさりげなく彩る一品である。
のれん宿明月 池田和哉さん(津和野旅館組合組合長)

取材協力店

しまね故郷料理店マークのれん宿 明月
※「しまね故郷料理店」
〒699-5605 鹿足郡津和野町魚町
TEL0856-72-0685
http://gambo-ad.com/tsuwano/hotel/meigetsu/
●営業時間(食事処)
11:00〜14:00頃、18:00〜21:00頃
●予算(宿泊) 1泊2食 1人10,500円〜
※「しまね故郷料理店」とは、島根県産の食材を活かした
「しまねの味」を提供している店舗です。
創業およそ100年という、津和野の老舗料理屋兼旅籠。「明月」がこだわり続けるのは『四季山菜郷土料理』。地元食材にこだわり、芋煮をはじめとする正統派の津和野料理から創作料理まで、代々の主人が包丁を握り、訪れる人々をもてなしている。
 今後は、こだわり、守り続けてきたものを大切にしつつも、忘れ去られようとしている郷土料理を再認識してもらおうという意欲から、次世代に繋がるさまざまなモーションを起こしていきたいという。
 文中でも紹介している、先代主人の遺稿集として出版された『津和野・四季の味』は、津和野で親しまれている数々の郷土料理を紹介している貴重な料理図鑑である。文才溢れる筆者の表現が、津和野の歴史風俗を語りつつ、ときにシニカルで面白い。「明月」に立ち寄られた際は、手にとってみられることをおすすめする。

津和野旅館組合

  津和野旅館組合では、地域をあげて地元食材による郷土料理で来訪者をもてなしていく取り組みを行っています。
 その第一弾は、「芋煮」と「地酒」。
期間 平成16年11月30日(火)まで
(共通メニュー)
津和野の旬の郷土料理「芋煮」と「地酒」
●内容
芋煮(本文参照)
●地酒
 秀峰・青野山から恵まれる良質の津和野の水は、また優れた地酒を育みます。町内には歴代に受け継がれた造り酒屋が4軒あり、全国品評会で優秀な成績をおさめた銘酒がそろう山陰の酒どころ。水、米、優れた杜氏と技術など、まさに地酒ならではの味わいと風味が自慢。
●お問い合わせ先
 津和野町旅館組合(津和野町観光協会)
 TEL0856―72―1771
(加盟店)
 幸楽 TEL0856−72−0501
 津和野温泉観光ホテル わたや TEL0856−72−0333
 のれん宿明月 TEL0856−72−0685
 原田屋 TEL0856−72−0973
 ペンション津和野 TEL0856−72−1720
 民宿星旅館 TEL0856−72−0136
 ホテルスカイヒル津和野 TEL0856−72−3232
 民宿小山 TEL0856−72−1546
 みやけ TEL0856−72−0216
 よしのや TEL0856−72−0531
 若さぎの宿 TEL0856−72−1146
 和風津和野ロッジ TEL0856−72−1683
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