島根の鼓動
みすみちょう
三隅町
「水澄みの里」と呼ばれる三隅町は、
清流を生かした和紙づくりと、
三隅公園のツツジ、
石見神楽の里として知られてきた。
その静かな町のイメージが、
今、少しずつ変わりつつある。
目指すは、「文化・伝統の香りが息づく町」づくり。
 弥栄(やさか)村、三隅町などを流れる三隅川の清流を維持しようと、平成6年から河川の浄化活動を行っている。会員は12名。最近では、商工会や婦人会、漁協、商店街などの協力も得て町を挙げての運動に発展している。
 活動のメインは、年2回のイベント開催と講師を招いての勉強会など。今夏の「三隅川フェスタ」では、国道9号沿いの三隅川の河原を会場に、アユ・ウナギなどのつかみ取り、いかだ・カヌー遊び、ゴミ拾いなどを実施した。来春には、サケの稚魚放流も計画している。
 上流の「みず澄まし弥栄」(弥栄村)との交流も盛んだ。年2回の定期交流会を持ち、今秋は弥栄祭りの一環として、源流域での広葉樹植林イベントにも参加した。
Topics みず澄まし三隅

和紙づくりを通じてブータンと国際交流
 三隅町は「石州和紙(せきしゅうわし)」で有名な町だ。町での和紙づくりの歴史は古く、万葉歌人柿本人麻呂(かきのもとひとまろ)が、紙漉(す)きの技術を伝えたのが起源とされる。
 地元産のコウゾを原料にした和紙は、強靱で光沢があり長期保存にも耐える紙として知られている。「石州半紙技術者会」(6人)は昭和44年、国の重要無形文化財に指定された。また、石州和紙は平成元年、通産大臣指定の伝統的工芸品に指定されている。
 昭和61年からは、和紙づくりを通して、ブータン王国との国際交流も始まった。これまでに、町が紙漉き機材2基を寄贈したほか、毎年、ブータンから研修生を受け入れて技術指導を続けている。研修生は既に14人に達した。62年からは、同国からの要請に応じて、技術者の派遣も行っている。
 最近では、産業高度化への新たな動きも起こっている。平成9年からは、減反地を利用して、コウゾの地元生産の拡大に取り組み、12年7月には、和紙にステンドグラスを漉き込んだ新製品「装飾用シート」を開発し、特許を取得した。
ブータンからの研修生は地域の人々とのふれあいも大切にしている
ブータンからの研修生は地域の人々とのふれあいも大切にしている
平成13年春にオープン予定の「石正美術館」
平成13年春にオープン予定の「石正美術館」
「中央公園」を、新たな芸術・文化活動の拠点に
 伝統産業の育成とともに町が現在、最も力を入れているのが「三隅中央公園」を核にした町の新しい顔づくりだ。
 平成13年春に完成する同公園には、野球場、陸上競技場、テニスコートのほか町民会館、健康増進施設・アクアみすみ、石正(せきしょう)美術館などが建設され、隣接地には小・中学校が移転、リハビリテーションカレッジ島根も進出、開校した。町の中心部に位置する小高い丘が、今では体育・教育・文化ゾーンに生まれ変わっている。
 同年4月7日にオープン予定の「石正美術館」では、町出身の日本画家・石本正(いしもとしょう)氏の作品約4千点を収蔵・展示する。小・中学生の創作活動の場としても活用する計画だ。開館後にボランティアとして運営などを支援する375人のサポーターも既に決定し、町を挙げたバックアップ体制が整った。
 毎年6月には、伝統芸能の石見神楽大会が周辺市町村の社中も参加して開かれ、神楽好きの石見人にとっては、見逃せない恒例のイベントになっている。
 平成10年、国内最大級の三隅火力発電所が稼動し、6万トン岸壁に石炭専用船が出入りして活況を呈し始めた三隅町。「これからは文化の振興に力を入れたい」という清谷祐二(せいたにゆうじ)町長の言葉どおり、同町は新しい芸術・文化の発信拠点へと脱皮しつつある。

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