私と島根

ふるさとの海
◎椋木 美羽

むくのき みわ
女優。1976年島根県浜田市生まれ。雑誌のアイドル候補写真がきっかけでスカウトされ、高校を卒業後、上京。平成8年テレビドラマ「新・女弁護士朝吹亜矢子〜逆転の法廷」でデビュー。以後、映画「ブルーフェイク」、テレビドラマ「ナースのお仕事」「デッサン」「甘い結婚」、NHK大河ドラマ「元禄繚乱」「独身生活」「君が教えてくれたこと」、CM「KIPHI」などに出演。2001年春公開予定の久石譲初監督作品「カルテット」にも出演する。特技はピアノ、趣味は香水収集。
ホームページ http://www.ken-on.co.jp/
椋木美羽

夕焼けに染まる日本海(浜田市)
 夕焼けに染まる日本海(浜田市)
 島根に住んでいたころ、週末になると、仲良しの母とドライブに出かけた浜田の海。車から降りて、誰もいない砂浜を歩く私の頬に、容赦なく吹き付ける澄み切った潮風。大きなうねりをあげて浜に打ち寄せる波。夏の海水浴客で賑わう海辺より、どちらかというと、私は海鳥が荒波と戯れる冬の日本海の方が好きです。男性的なイメージでとらえられがちな日本海は、いつも荒々しいわけではなく、時として穏やかで優しく、私を包み込んでくれるような存在なのです。
 高校を卒業してすぐに東京へ出た私が、映画やテレビの仕事で忙しくなるたびに思い出すのは、やはり故郷です。浜田市の駅の近くで生まれ、日本海まで車でほんの10分のところで育った私にとって、故郷と言えば海なのです。とくに高校への通学時、山陰本線から毎日眺めた景色は忘れられません。車窓に広がる広大な海原。晴れた日の夕暮れには、離れ小島をシルエットに、朱色の空が真っ赤に海を染めます。そんなダイナミックな風景が日常の一コマなのです。
 もちろん、山もあります。中国山地に向かって車で30分程の所に、新劇の指導者島村抱月(しまむらほうげつ)の出身地で知られる金城町(かなぎちょう)という町があります。そこには美又(みまた)温泉という温泉が湧いていて、少しぬるっとしたような柔らかい湯に入ると肌がつるつる。おばあちゃんとのんびりとつかったことが思い出されます。
 現在、私はそうした豊かな自然とまったく離れた環境の中で仕事をしています。でも、海や山が好きなことに変わりはありません。私の家族はもちろん、島根の海や山、空気、街、人々に囲まれて育ったからこそ、今、女優という仕事で生かされる感性が私の中に芽ばえたような気もします。
 冬、日本海の魚が一段と美味しくなる季節です。島根にいた時は毎日、母の愛情たっぷりの料理を食べていたせいか、時々、無性に食べたくなる手作りのお弁当や煮魚。寿司を食べに行くと必ず思い出す故郷の刺身。これからも、いろいろな役がこなせる女優を目指して頑張りたいと思います。そして、休みには島根の家へ帰り、美しい自然と美味しい食べ物で体も心も栄養補給したいですね。(談)

[ 鈴木光司 / 椋木美羽 ]

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