1)ブタにおける日本脳炎ウイルスHI抗体保有状況 2019年
2019年6月から9月の間に島根県食肉公社(大田市)で採取したブタ血清についてJaGAr#01株に対するHI抗体の推移および2ME感受性抗体を測定した。なお、2ME感受性抗体はHI抗体価が40倍以上となった際に行うこととした。結果は下表に示すとおりである。
6月中旬に検査した全てのブタが抗体陽性となり、8月上旬の4頭を除いた76頭がHI抗体陽性であった。HI抗体陽性のうち、63頭について2ME感受性試験を実施したところ、12頭が陽性となった。2ME感受性抗体陽性であったブタは6月下旬から、9月上旬まで確認された。一方、6月下旬でもHI抗体が640倍以上で、2ME感受性抗体陰性であったブタが複数頭確認された。
また、2ME感受性陽性となった6月下旬以降で、HI抗体価が20倍以下のブタ7頭について、日本脳炎ウイルス特異的Primerを用いた遺伝子検査を実施したところ、6月下旬の1頭および8月上旬の3頭から日本脳炎ウイルス遺伝子が検出された。さらに、VeroE6細胞で分離・培養を試みたところ、6月下旬の1頭から日本脳炎ウイルスが分離された。
Konnoらによれば、ブタの半数以上が抗体陽性となると約2週間後からその地域で日本脳炎患者が発生することを報告している。
6月中旬に検査した全てのブタが抗体陽性となり、8月上旬の4頭を除いた76頭がHI抗体陽性であった。HI抗体陽性のうち、63頭について2ME感受性試験を実施したところ、12頭が陽性となった。2ME感受性抗体陽性であったブタは6月下旬から、9月上旬まで確認された。一方、6月下旬でもHI抗体が640倍以上で、2ME感受性抗体陰性であったブタが複数頭確認された。
また、2ME感受性陽性となった6月下旬以降で、HI抗体価が20倍以下のブタ7頭について、日本脳炎ウイルス特異的Primerを用いた遺伝子検査を実施したところ、6月下旬の1頭および8月上旬の3頭から日本脳炎ウイルス遺伝子が検出された。さらに、VeroE6細胞で分離・培養を試みたところ、6月下旬の1頭から日本脳炎ウイルスが分離された。
Konnoらによれば、ブタの半数以上が抗体陽性となると約2週間後からその地域で日本脳炎患者が発生することを報告している。
*本調査は令和元年度感染症流行調査実施要領(厚生労働省)に基づき行った。
表29 ブタの日本脳炎ウイルスHI抗体保有状況(2019年)
採血月日 | 検査頭数 | HI抗体価 | HI抗体陽性率 | 2ME感受性抗体※1 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
<10 | 10 | 20 | 40 | 80 | 160 | 320 | ≧640 | (≧10)% | 検査数※2 | 陽性数(%) | ||
6月14日 | 10 | 9 | 1 | 100 | 0 | 0 | ||||||
6月28日 | 10 | 3 | 2 | 5 | 100 | 7 | 3(42.9) | |||||
7月12日 | 10 | 2 | 8 | 100 | 10 | 1(10.0) | ||||||
7月26日 | 10 | 1 | 9 | 100 | 10 | 0 | ||||||
8月9日 | 10 | 4 | 2 | 4 | 60 | 6 | 1(16.7) | |||||
8月23日 | 10 | 1 | 9 | 100 | 10 | 6(60.0) | ||||||
9月6日 | 10 | 1 | 3 | 6 | 100 | 10 | 1(10.0) | |||||
9月20日 | 10 | 1 | 4 | 5 | 100 | 10 | 0 |
※1:2-メルカプトエタノール(2ME)感受性抗体(感染初期のIgM抗体の存在を示す)
※2:HI抗体価 1:40以上
※2:HI抗体価 1:40以上