毎年初冬から春に流行する水痘
●発生状況
普遍的な感染症で、15歳までに約75%以上のヒトが感染します。流行は初冬から春にみられ、
初夏から秋に最小となる年周期がみられます。
平成26(2014)年10月から、水痘ワクチンが定期予防接種となり、患者数が減少しています。
●病原体
水痘・帯状疱疹ウイルス(ヘルペスウイルス科のエンベロープをもつDNAウイルスです)
●感染経路
発疹出現1〜2日前から水疱出現6日位までの患者の水疱内容への接触、気道分泌液への直接接触、
また、飛沫感染により感染します。
●潜伏期
10〜20日、通常13〜17日
臨床症状
軽度の発熱、軽い全身症状および発疹をもって突然発病する急性熱性ウイルス疾患です。
発疹は斑点状赤丘疹で、その後3〜4日間の水疱期の後、痂皮を形成し、痂皮が脱落して治癒します。
本来は軽症疾患ですが、成人例や免疫不全を持つ小児例では重症経過をとることがあります。
合併症として水疱擦過による細菌の二次感染、成人にみられる間質性肺炎、
水痘の経過中に水痘脳炎、髄膜炎を発症することがあります。
帯状疱疹は成人に多く、小児には少なく、小児期に感染した水痘・帯状疱疹ウイルスが
脊髄後根神経節に潜伏感染し、年月を経て再発あるいは再活性化したものです。
激しい神経痛や知覚異常を伴い、神経節支配皮膚領域におこる水疱を伴う発赤疹が帯状に出現します。
●検査室診断
発病初期の水疱内容液からのウイルス分離、水疱内容液の塗抹標本の蛍光抗体法。
また、ELISA、中和法等による有意抗体上昇またはIgM検出を行います。
●治療と予防
感染後72時間以内にガンマグロブリン(ZIG)を投与すれば水痘の発症予防、軽症化に有効です。
特に白血病患者に効果があります。治療は主に対象療法が行われますが、重症者にはアシクロビル使用が一般的です。
◆予防接種◆
平成26年10月1日から、水痘ワクチンが定期予防接種となりました。
●感染症法での取扱い
水痘は5類感染症のうち定点把握疾患となっており、小児科定点から毎週の年齢群別発生数が報告されています。
また、入院例は2014(H26)年9月から、
5類全数把握疾患となっています。
学校保健安全法では、すべての発しんが痂皮化するまで出席停止となっています。