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アメーバ赤痢
対象疾患一覧県報告数と届出基準全国報告数アメーバ赤痢とは?

アメーバ赤痢

発生状況
 赤痢アメ−バによる消化管の感染症で、渡航者によくみられる感染症ですが、男性同性愛者間での感染も多く報告されています。近年、全国的には増加傾向を示しています。
【島根県の患者発生状況】 2004年1月〜2018年12月末現在
 5類全数把握疾患(2003年11月以前は4類疾患)として2004年1月から2018年12月末現在までの間に37例の患者発生報告があり、男性が35例(94.6%)を占めています。(図1)
 また、年代別では40歳代〜60歳代の患者が多く30例(81.1%)を占めています。(図2)
 感染地域は、国内が31例(83.8%)、国外が5例(13.5%)です。国内感染者の感染経路は、経口感染が7例(22.6%)、性的接触が10例(33.3%)、不明が14例(46.7%)、国外感染者の感染経路は、経口感染が4例(80.0%)、不明が1例(20.0%)となっています。(図3)
 ※ 感染地域及び感染経路については、推定あるいは確定として報告されています。
島根県の患者発生状況
病原体及び感染経路
 赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)と言う原虫による感染症です。赤痢アメーバは、嚢子(cyst)と栄養型(trophozoite)のふたつの形態で存在しています。赤痢アメーバ嚢子(cyst)に汚された飲食物等を経口摂取することにより感染します。汚染された飲食物を介しての経口感染と、性的接触による接触感染(糞口感染)があります。
 経口摂取した嚢子(cyst)は、小腸で脱嚢して栄養型(trophozoite)となり、分裂を繰り返して大腸に到達し、大腸粘膜面に潰瘍性病変を形成して腸管アメーバ症を発症します。ただし、感染しても症状がみられない人もいます。 また、腸管からアメーバが血行性に転移し、腸以外の臓器に侵入して腸管外アメーバ症を発症するとこともあります。
 さらに、栄養型(trophozoite)は大腸内で被嚢し、嚢子(cyst)となって糞便中に排出され感染源となります。嚢子(cyst)は抵抗性があり、生体外で数週〜数か月間感染性を保持すると言われています。
潜伏期
 潜伏期は通常2〜3週間ですが、数か月から数年の場合もあり不定です。
臨床症状
 腸管アメーバ症は、下痢、粘血便、しぶり腹、排便時の下腹部痛、不快感などの症状を伴う慢性腸管感染症です。典型的な例ではイチゴゼリー状の粘血便がみられ、数日〜数週間の間隔で悪くなったり良くなったりします。
 腸管外アメーバ症は、腸管からアメーバが血行性に転移し腸以外の臓器に侵入して発症するもので、肝膿瘍が最も高頻度に見られます。成人男性に多く、高熱(38〜40℃)、季肋部痛、吐き気、嘔吐、体重減少、寝汗、全身倦怠感などを伴います。膿瘍が破裂すると腹膜、胸膜や心外膜にも病変が形成されることがあります。
治療と予防
 ・抗原虫薬による治療を行います。
 ・予防接種はありません。
 ・発展途上国等の流行地域では、生水、氷、生野菜、カットフルーツ、生の魚介類等の食品を喫食しないように注意しましょう。
 ・食事の前には十分に手を洗いましょう。
 ・感染者との性的接触の際には注意が必要です。
感染症法での取扱い
 全数把握の五類感染症に指定されていて、診断した医師は7日以内に最寄りの保健所に届出ることになっています。

リンク

島根県感染症情報センター