布施村マップ
浄土ケ浦
多数の島々が見事な景観を見せる浄土ケ浦は布施海岸の中心地
島根の鼓動
今も残る手つかずの自然
ダイビングスポット 乳房杉
海岸沿いには美しいダイビングスポットが多い 地上3mのところで15に分岐している乳房杉
 隠岐の布施村は、島後の北東部に位置する。村内には手つかずの自然がいたるところに残り、東岸一帯は美しい海岸線が延々と続く景勝地である。なかでも極楽浄土のように美しいことから、その名がついた「浄土ケ浦」は名勝として海中公園にも指定されている。
 また、島後の最高峰である大満寺山の東麓には、県の天然記念物「乳房杉」がある。樹齢800年、根まわり約16メートルの巨木で、20数個の巨大な乳根が下がる姿は、まさに神木と呼ぶにふさわしい。
 こうした名所をはじめとする観光スポットをめぐる拠点となっているのが「国民保養センター」だ。宿泊だけでなくダイビングポイントの情報提供、山歩きコースの紹介、ダイビング用具の貸し出しなど、きめ細かなサービスが観光客から好評を得ている。
 村では国民保養センターに面した海岸の一部を親水護岸として整備する計画で、子供や年配者でも今以上に海を楽しめるようになる。また、海岸沿いを走る主要県道の拡張工事も随時進めている。この道路は、すばらしい景観が眺望できることから、観光道路としても早期の全面開通が待たれるところだ。
伐採から森林育成への転換
杉の天然林 大山神社山祭
一大自然林を形成している杉の天然林 山の神を鎮めるために行う大山神社山祭
 布施村の90%は山林、しかもその半分以上は人工林という豊かな資源を有している。その歴史は、後世に「造林の始祖」といわれる4人の村民が苦闘しながら植樹した江戸時代にまでさかのぼる。以後、次第に植林は盛んとなり、布施村は昭和初期まで林業の村として歩んできた。その後は観光による村づくりを推進してきたが、今後は島後4町村が一体となった観光を目指している。
 今でも村内には樹齢300〜400年を経た杉の巨木が800本も残り、懐の深い神秘的な森林を形成している。村では島後の中の「森感ゾーン」として、この未踏の森林を保護していく方針を打ち出した。
「美しい海を守っているのも森林です。森林を育成することで、人と自然が共生する癒しの村になりたいですね。お手本は屋久島です」。そう語る安部正道村長の声は、情熱に満ちている。
「隠岐に来たら布施の森を見ないでは帰れない」。そんな声が聞かれるのも、遠い日ではなさそうだ。

column 【木芸 脇坂春斎】
脇坂春斎さん  布施村に生まれた脇坂さんは16歳のときから、希代の名工といわれた父に師事。以来、木芸一筋に技を磨いてきた。美しい木目を生かした文箱、花台、平卓などの作品は数々の工芸展で入選を果たしている。作品にする木材は、ほとんどが地元産。「布施の杉は良質で日本でも数少ない貴重なもの」と語る。日本の木芸の美意識を高めていきたいと、現在は後継者の育成にも尽力している。

大東町/布施村

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