知夫村マップ
およそ1km にわたって続く赤壁。その色彩のすばらしさに目をうばわれる
およそ1km にわたって続く赤壁。その色彩のすばらしさに目をうばわれる
島根の鼓動
自然を生かした 観光産業に挑戦
アカハゲ山の山頂では馬を放牧している
アカハゲ山の山頂では馬を放牧している
 知夫村があるのは島前の中でも一番小さい島、知夫里。この島には雄大な自然が残され、「最も隠岐らしい」ともいわれる。なかでも、赤壁は国指定の名勝。高さ50〜200mに及ぶ断崖は海岸一キロに渡って続き、風化によってザックリとえぐり取られた岩肌が絶景を描いている。また、知夫村の最高峰アカハゲ山からは、ぐるりと360度、日本海を眺望することができる。タクシーで観光客を案内すると「隠岐でここが一番すばらしい」と言う声も聞かれるという。
 知夫村では、この恵まれた自然を核に、岩ガキを中心とする漁業などを結びつけた観光産業の振興に果敢に取り組んでいる。
岩ガキの養殖に成功
知夫の大きな岩ガキは夏が旬
知夫の大きな岩ガキは夏が旬
 3年前、島前では全国に先駆けて岩ガキの人工栽苗に成功。知夫村の周囲の海でも、10m四方の筏10基による岩ガキの養殖が行われている。知夫村の岩ガキは成育に3年の歳月をかけ、1個300グラム以上のものだけを出荷。これは普通のカキの3倍の大きさで、さっぱりとした豊かな風味も申し分ない。
 知夫村では今、この岩ガキを村の特産物に育てようと官民一体となった取り組みがなされている。村内のホテルや旅館、民宿では岩ガキ漁が解禁となる4月〜9月には、岩ガキを使ったメニューを取り入れたり、4月から6月末までは、島内の施設で食べ放題プランを実施。そのおいしさを広めている。
U・Iターンで人口が増加
使いやすく整備されて人気の長尾海水浴場
使いやすく整備されて人気の長尾海水浴場
 昨年4月の知夫村の人口は、757人。それが今年は780人を超え、少しずつではあるが増加傾向にある。これは、知夫村の大自然と人情あふれる土地柄に魅せられたIターン者によるところが大きい。
 知夫村では、U・Iターン者に漁船1隻や和牛1頭を譲渡するという定住対策を10年前から開始した。実は岩ガキの養殖もIターンして漁業を始めた定住者によって始められた事業だ。
 生活や観光の基盤となる施設の充実も進む。大型フェリーが寄港できるように来居港の岸壁を延長し、長尾海水浴場の整備にも着手した大原正則村長は、「都会と違うものを提供していくことで、もっと島の力を引き出していきたい」と夢を語る。
 「自然」と「食」を柱とした観光産業の循環の輪が、知夫里で大きく回り始めようとしている。

column 【知夫里いわがき会】
知夫里いわがき会  知夫村で岩ガキの人工栽苗が成功したのは、この会の功績によるところが大きい。3年前、15名ほどで発足。試験場と共同で実験を繰り返し、ホタテ貝を苗床とする養殖法を考案した。現在は、30名近い会員が岩ガキの養殖に取り組んでいる。観光客に楽しんでもらおうと、筏から自分の手で岩ガキを採って、その場で食べる「いわがき加工体験」も運営。夢は「岩ガキの養殖を隠岐の産業のトップに育てること」。青い海を舞台に、これからも挑戦は続く。

日原町/知夫村

48号indexへ48号indexへ