ぼてぼて茶
美味お国自慢・コラム
「ぼてぼてっ」と無手勝流に
いただく、庶民文化の風味。
『ぼてぼて茶』
煮豆、冷や飯、赤飯、漬け物等をいれてかき回す お茶のようでもあり、はたまたお茶漬けのようでもある「ぼてぼて茶」。松江藩主・松平不昧公が、鷹狩の際、空腹しのぎに食したとも云われる、この一風変わった食べ物は、抹茶のように泡立てたお茶の中に、数々の具を入れて、箸を使って食すもので、古くから出雲地方に伝わる飲茶習俗。この”ぼてぼて“という不思議な響きをもつネーミングも、点てるときの音だったとも云われるが、これまた定かではない。とにかく古くから親しまれている食べ物であること以外、中に入れる具ひとつとっても、各地域で違いがあり、これが真実というものがないのである。出雲地方で広く庶民に親しまれた結果、それぞれにマッチしたぼてぼて茶の文化が育った。とするのが正しいのであろう。
 さて、このぼてぼて茶。今に伝わる代表的な作法と作り方を紹介しよう。
 まずは、茶器。抹茶茶碗のような大柄な、底の深い呉州手茶碗を使用する。そして、次にお茶。ぼてぼて茶に使われるお茶は、花番茶といわれる、茶の葉の中に干し花が入ったもので、この花が、ぼてぼて茶独特の泡立ちを作りだす。この茶葉を土瓶に入れて煮立て、少しさましたものを茶碗にそそぎ、抹茶用茶せんよりも大きめの、ササラ型茶せんの先に塩をつけて泡立てる。そしてその中に具(煮豆、冷や飯、赤飯、漬け物など)を入れ、お茶をかき回し、具ごと食するのだ。口中に広がる風味は、お茶の香ばしさに加え、煮豆の甘みや、漬け物の歯ごたえなどが渾然一体となる、これまた不思議に美味しいもので、地元はもちろん、観光客にも人気が高い。最初は興味本位で食べる観光客も、その独特な味に魅せられ、とりこになるというのもうなずける。
 歴史的に、飢饉時の食料としての側面もあったぼてぼて茶。最近では、ダイエット食品として注目を浴びつつあるというのも面白い現象だ。


◎問い合わせ先
松江市観光文化課
0852-55-5214

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