私と島根 室伏 広治
 思い出の陸上競技場
 
浜山公園陸上競技場から見渡す山々は、四季の移ろいを感じさせてくれる(出雲市・大社町)
 昨年11月9日、私は島根県立浜山公園陸上競技場の完成式に招待され、ハンマー投げを披露しました。その時、私は新しく立派になった競技場を見て心から嬉しく思いました。なぜなら、ここは私にとって思い出深い場所だからです。

 13年前、私は競技大会出場のためにこの競技場を訪れました。それはハンマー投げで挑む初めての大会だったうえ、その頃、私の記録は伸び悩んでいました。一投、一投が無我夢中。精一杯の気持ちで挑んだその大会で遂に記録が伸びたのです。とても嬉しかった。その後、他の大会でもどんどんと記録が伸びていきました。ですから、この浜山の競技場は私のハンマー投げ人生の出発点だと言ってもいいかもしれません。

 もう一つ、その当時の心躍る思い出があります。それは出雲大社に参拝した時のこと。出雲大社の神秘的な雰囲気を楽しんでいた私は喜多郎さんのコンサートのリハーサルに出会ったのです。喜多郎さんは私の大好きなミュージシャン。その憧れの人の音楽を生演奏で聞くことができたのですから感動しましたね。喜多郎さんの神秘的な音楽と出雲大社の雰囲気はよく似合い幻想的でした。

 そして、時を経てこの地を訪れて改めて思ったことがあります。高校生の私には感じ取れなかったこの地の雰囲気の良さです。特に山の景色が素晴らしいと思います。浜山の競技場のメーンスタンドから見えるあの美しい山の名前はなんというのでしょう?山間から立ち上る雲は何とも神秘的で私の心をとらえました。完成式の模範競技で、私はあの神秘の山へ向かってハンマーを投げました。実はこのように山という大きな目標物があるとハンマー投げは投げやすくなります。その点でここは競技場としても良い場所にあると思いました。

 来年、浜山公園陸上競技場でインターハイの陸上競技が行われるそうですが、きっと大会が成功し、素晴らしい記録や選手が生まれてくれると私は確信しています。この地独特の雰囲気と島根の子どもたちの目の輝きが、未来への可能性を感じさせてくれたからです。私はこの地でさらに陸上競技が発展していくことを願っています。(談)

室伏広治
むろふしこうじ
室伏広治
 ハンマー投げ選手。成田高校から中京大学を経てミズノへ入社。日本選手権8連覇中。2001年中央大記録会で83m47の日本記録を樹立(世界歴代7位)。世界選手権で日本投てき史上初のメダルとなる銀メダルを獲得。'02年アジア競技大会優勝。国際グランプリファイナルで日本人初の種目別優勝を果たす。

室伏広治/緒川 たまき

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