特集 しまねブランド誕生へ  
   
島根県には豊かな自然に育まれ、生産・製造者のこだわりが生みだす特色ある産品が数多くある。これら産品の県外に向けた販路拡大や消費拡大に取り組むことにより、島根の魅力を全国的にPRしようと、産・学・官連携の下、県産品のブランド化に向けた取り組みが行われている。消費者に信頼、支持される「しまねブランド」の誕生を目指す様々な取り組みを紹介しよう。

島根県産品の現状
緑深い中国山地を流れる清らかな川の流れ  緑深い中国山地、紺碧の日本海に抱かれた島根県。古来より、人々は自然の恵みの恩恵を受け、感謝をしながらものづくりに取り組んできた。品質へのこだわりは島根の伝統的な気質。まじめに、正直に良質な産品を市場に送り出している。生鮮食品の生産量では、シジミ、西条柿や魚介類など全国の上位を占める産品もある。しかし、イメージ調査によると全国的に抜きん出て認知されている産品が見当たらないというのが現状だ。
 折りしも、BSEに端を発し、消費者の食品に対する安全・安心志向が高まっている。この状況は自然に恵まれた島根県と良質の県産品をアピールする絶好の機会となってきた。
 平成14年4月、島根県では「しまねブランド推進室」を設置し、県産品のブランド化に向けた取り組みを強化。しまね県産品ブランド化の推進母体として、生産から流通・販売・消費に至る幅広い方面の関係機関・団体から参画を得て、新しく「しまね県産品ブランド化推進協議会」を設立するとともに、「しまね県産品ブランド化基本方針(食品編)」を策定した。
 平成15年度にはこの協議会として、県内の意欲ある生産・製造者を対象に、ブランド化基本方針を踏まえた県産品のブランド化に取り組む実行プランを公募し、重点的に支援することにより、しまねの顔となるブランド産品の育成に取り組むこととしている。
 
「島根県の大物産展」(松坂屋・名古屋駅前店内)

ブランド化の見据える先
 ブランド化のねらいは、県産品を同種の産品と比較して競争上有利な地位を築き、生産・製造者の利益向上と地域活性化につなげていくことにある。ブランド化に取り組む産品の対象は県内で生産・製造される農林水産物(花を含む)及びそれを主な原材料とした加工品。その中でも生産、製造者がものづくりや販路拡大へ向けて意欲的であり、全県的な出荷品目で市場評価が高いこと、地域や期間限定であっても特徴があるなど、県外に向けて販売展開が可能であること、観光客など県外からの誘客が可能であることなどが基準となる。
 これに先がけて現在モデル事業として、しまね和牛肉、いわがき、西条柿、病気の予防に寄与する機能性食品のブランド化に取り組んでいる。産品毎に生産・製造者、大学や各研究機関、マーケティング専門家などによるプロジェクトが組まれ、様々な角度からの対策が講じられている。
多彩に展開、西条柿を全国区に
 
甘くて美味しいと好評な西条柿
 西条柿は糖度が高く、食味が良好で細長い形が特徴の柿である。県内では松江市、平田市、三隅町など各地で生産され、生産面積と生産量で全国一。瀬戸内、関西方面に出荷されているが、関東方面では認知度が低い。
 販路拡大を目指して平成13年から、東京でのテスト販売に踏み切っている。「まるでピーマンのよう」。その独特な形は珍しがられ、濃厚な甘味とまろやかな味わいには絶賛の声も聞かれた。売り上げも上々であり、14年度は京浜向けの出荷量が増加した。
 生食の需要が伸びる中、加工品の商品開発や販売も盛んに行われている。中でもオレンジ色を残したまま、柔らかく仕上げた干し柿「あんぽ柿」は西条柿ならではの糖度の高さと鮮やかな色が消費者に好評で市場評価も高い。個包装での販売方法が功を奏し、売り上げも順調。首都圏においては生果と共に定番商品として扱われるようになった。
 
 
西条柿を使った加工品販売の様子
 2月、東京で開催された物産展では西条柿を使った和菓子、洋菓子を販売。菓子処島根の職人技もアピールした。洋菓子に関しては都会の若い女性をターゲットに、クープ・ド・フランス世界大会をはじめ、数々の世界コンクールで優勝経験のあるパティシエ・川村英樹氏の協力を得て、商品開発を進めている。西条柿は熱を加える際に渋みと変色がみられるなど加工品としては難しい食材だ。しかし、今後も新たな顧客開拓に向けて試作が続けられる。
 島根県の試験研究機関の共同研究で西条柿の機能性が認められ、出荷・製造技術も向上してきた。今後は総合的な機能性を消費者に伝えながら、認知度を高めていく方針だ。
健康と安全と個々のニーズに応える産品を
 
良質で健康に良いと評判の邑智郡機能性特産物研究会の産品
 高齢県から長寿県へ。医食同源を目指して、健康食品は県産品の新しい顔として注目を集める。その中心ともいえる邑智郡機能性特産物研究会は地元の素材を原料に、機能性食品を製造・販売する邑智郡内の3業者が平成13年5月に設立した。小規模業者の連携と県の試験研究機関の協働で商品開発力を高め、販路拡大を図っている。
 メンバーは桑茶生産と販売・商品開発を行う「桜江町桑茶生産組合」、キノコ類の霊芝を栽培・販売する邑智町の「邑智物産協同組合」、マタタビの実を加工する「大和村マタタビ生産者グループ」。
 無農薬、無添加の原材料で作った個々の特産品を「保然力食品」と名付け、商品開発に力を注ぐ。さらに新商品として桑の葉、マタタビ、霊芝から作った「三味の保然茶セット」を販売。3種の機能性食品を一度に購入できることから健康志向の消費者に好評だ。1月には温泉津町で機能性食品に関するシンポジウムと薬膳料理の試食会を開催。研究会の存在を広くアピールした。

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