美味お国自慢西条柿(平田市)
4つの溝が特徴的な西条柿
美味お国自慢西条柿(平田市)
丸くて赤い甘柿に較べ、細長く色づきも薄い”西条柿“。元来、渋柿であるこの柿に、甘みを加えることで、甘柿にも出せない豊潤な甘みと、まろやかな食感が生みだされる。この西条柿の出荷量で県内一位を誇る平田市を訪ね、生産に至るまでの苦労や特徴。そして、これからの西条柿について紹介してみたい。
夏の好天に恵まれ、玉太りのよい実がたわわに実った
 
 冒頭でも述べたとおり、西条柿はもともと渋柿。収穫時、甘い果実を実らせる富有柿などの甘柿と比べ、渋柿は収穫してから一手間加える。渋を抜いた柿は一般的に「合わせ柿」と呼ばれ、渋柿であるはずの西条柿が、独特な風味を讃える美味しい柿に変身する。渋抜きには、ドライアイスを柿とともにポリ袋に封入。そのまま約72時間(3日間)寝かせると、ドライアイスから発生する炭酸ガスの作用で、渋が抜ける。これがいわゆる“渋抜き(脱渋)”という行程だが、この作業を経て出荷される平田の西条柿は、全国で高い評価を得ている。  島根の西条柿は、蔕(へた)からお尻の部分にかけて、均等に4本の溝が入る特徴があり、大黒様の打出の小槌をイメージして命名されたという「こづち」とも呼ばれている。西条柿の出荷量が県内1位の平田では、10月始めから11月上旬にかけて収穫の最盛期を迎え、主に瀬戸内、大阪地区へと出荷され、特に山口県での人気が高い。  もともと高木に育ちやすく、収穫等に手間がかかるうえ、毎年安定した収穫ができない西条柿を平田の振興作物として定着させることができたのは、幼木のうちから高く育たないように、徹底した横方向への誘引による低樹高栽培をおこなった成果だ。植裁初期のもっとも栽培に難しい時期を手間隙惜しまずに管理した生産農家の努力の賜物と言えるだろう。低樹高で作られた西条柿は、山陰では珍しい南向きの斜面で栽培されることもあり、日照量を豊富に取り込み、早期収穫も可能にした。
 
 
軒下に吊された柿は島根の冬の訪れをつげる風物詩
 平田産の西条柿の味をひとことでいうと、『濃厚』。まろやかな食感の肉質と、糖度18度(富有柿で15〜16度)を誇る甘みが奏でる風味は絶品。食べ時は、出荷したての「固い派」と、熟しきる寸前の「柔らかい派」の二手に分かれる。また、干し柿に加工して食べる西条柿も絶品。飴色に仕上がった干し柿の肌を白い果糖が甘みを強調するかのように化粧するその姿を見ると、思わず唾が出そうになるほどだ。もちろん口に入れると、姿にたがわず、天然の甘みが口中に広がる。しかし、生食にせよ、干し柿にせよ、山陰地方では一般的な西条柿も、その独特の細長い形から、関東などでは、柿と思われないこともあるという。また若者全般に人気がいまひとつなのも形からくる皮の剥ぎにくさが原因のひとつ。解決策として、関東地域での直販によるPR活動や、今年完成した「干し柿加工センター」による大々的な干し柿生産など精力的な販売展開も始まっている。これは日持ちがしない西条柿の弱点をカバーするための策でもある。
 西条柿が全国制覇をするには、いくつかの問題点を抱えているのは事実。しかし、ひとたび味を知ってしまえば、誰もが虜になってしまう“西条柿”の魅力を是非とも全国に浸透させていきたいものだ。

◎問い合わせ先
JAいずも平田
0853-21-6038
柿部会ホームページ
http://www.uranus.dti.ne.jp/~t-oku/

美味お国自慢・コラム

46号indexへ46号indexへ