島根の鼓動
いわみちょう
石見町
地図 中国山地の中腹にひらけた高原の町、石見町。
於保知(おほち)盆地の雲海で知られるこの町では、
今、「交流」をキーワードにした町づくりが盛んだ。
百万都市・広島市の生協との産直交流、
都会地からの農業研修生との交流・・・。
町が描いた「夢とふれあいの農村づくり」は、
着実に現実のものとなりつつある。
 井原地区の国道261号沿いに4カ所あった有人・無人市を統合し、地区活性化の拠点として平成10年11月にオープンした。特徴は、加工場を併設した農産物直売所として、地区の全戸が出資したことだ。
 低農薬有機栽培による新鮮な朝取り野菜や花卉のほか、加工場等でつくった餅、寿司、おはぎ、蒸し饅頭などを販売している。売り上げの伸びは順調で、12年は8,000万円を突破した。
 買い物客は、遠く広島市からも集まり、最近では家庭菜園からの少量多品目の商品だけでは足りず、他地区の専業農家からの出荷協力も得ているほど。あまりの好評ぶりに、オープンから2年で早くも、直営のハウス栽培施設の建設や売り場の拡張計画も持ち上がっている。
Topics 雲井の里 ふれあい市場

有機農業への地道な努力で
生協との産直交流が実現

中国地方最大級の広さを持つおほち盆地
中国地方最大級の広さを持つ
於保知(おほち)盆地
 浜田自動車道・瑞穂(みずほ)インターチェンジから通称・原山雲海(はらやまうんかい)ロードに入り、町境の原山トンネルを抜けると、眼下に広大な盆地が広がっている。邑智(おおち)郡の名の由来にもなった於保知盆地−矢上、中野、井原地区の町並みと田園風景だ。
 農業を基幹産業とする石見町は、昭和40年代から県下の他市町村に先駆けて圃場(ほじょう)整備事業を導入。化学肥料の大量使用による地力の減退を防ぐため、早くから有機農業への転換を進めてきた。
 有機肥料として使用したのが、特産の石見和牛などの畜産農家から出る牛糞と、チップ工場からの廃材を混合した「バーク堆肥」。町と農協が共同生産し、希望農家に安く頒布することで普及を図った。
 平成3年には、ふるさと創生資金を充てて「有機無農薬実験圃場」を整備。町自らが有機無農薬・低農薬栽培の実験・研究にも取り組んでいる。
 土づくりへのこうした地道な努力は、同町産の農産物の評価を次第に高め、昭和56年、広島中央市民生協(現・生協ひろしま)との交流が実現。60年からは、「生産者の明確化」「栽培方法の明確化」「産消交流の実施」の「産直三原則」を確認して、産直交流が本格化した。


続々と打ち出す新規事業
「フルーツ街道」構想も

香木の森公園
香木の森公園
 有機農業への転換で自信を得た町は、さらに「交流」をキーワードにした新事業を展開。平成3年5月、「香り」をテーマにした「香木(こうぼく)の森公園」を矢上地区に完成させた。
 月桂樹やキンモクセイなどの香木やハーブを植栽した園内には、レストラン「香夢里(かむり)」や宿泊もできる農林業体験施設「香遊館(こうゆうかん)」、ハーブ製品の加工・販売所「クラフト館」などを整備。隣接地に「いわみ温泉・霧の湯」も建設して、一帯は今では年間12万人の観光客を集める観光地となっている。
 8年には、「第4回全国ハーブサミット」が開催され、ハーブを通じた全国規模の交流も始まった。
 また、町の取り組みで特に注目を集めたのが、都会地の女性を対象にした1年間の農業研修制度だ。平成5年にスタートした同制度では、毎年6名の研修生を受け入れ、「香木 の森公園」を拠点にハーブ栽培、ハーブクラフト製作、農作業などの体験・研修を実施した。
 9年度からは、2週間の短期研修コースも加えた「石見町研修制度」として継承。12年からはさらに、町内の農家が受け入れ先となった1年間の「施設園芸研修」(2名)を加えて、一層充実した制度にしている。
 こうした一連の施策を、長年にわたり役場の職員として強力に推し進めてきたのが、日高昭登(ひだかあきと)・現町長だ。「今後は、『香木の森公園』をさらに充実させるとともに、サクランボなどの果樹の特産化も図りたい。ナシの旭町、リンゴの瑞穂町とタイアップして、浜田自動車道をフルーツ街道にしたい」と、広島都市圏をターゲットに、新規事業を続々と打ち出している。


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