島根の鼓動
やつかちょう
八束町
地図 中海(なかうみ)に浮かぶ大根島(だいこんしま)と江島(えしま)
2つの島からなる八束町。
大根島は牡丹と薬用人参で知られ、
江島工業団地には順調に企業進出が進んでいる。
また、全国初の情報通信システムづくりなど、
新しい時代への確かな歩みが続いている。
 自然の温もりが伝わってくる牡丹染めは、発色の美しさを持ち味としている。牡丹染めを開発した「牡丹染め研究会」は地元の17人の女性が集まって、10年前に発足した。染料に適した牡丹を知るのに数年。色が定着する布を見つけるのに、また数年。10年経って、ようやく牡丹染めの技法を会得できたという。今では年1回、町内文化祭での作品発表のほかに、小学校の体験学習で指導にあたるなど、研究会の活動は広がりを見せている。
 夢は、牡丹染めを八束町の特産品に育て上げること。すでにスカーフ、布製コースター、ポケットチーフなどを試作して好評を得ている。町内の観光施設などで牡丹染めの製品を目にするのも、そう遠くないことだろう。
Topics 牡丹染め研究会

“早める”から“遅らせる”に
着眼して特許取得

5月上旬が見ごろで大根島全体が花いっぱいになる
5月上旬が見ごろで大根島全体が
花いっぱいになる
 牡丹の町、八束町。町内の農園では生産量日本一を誇る約280品種、年間約180万本の牡丹の苗木が生産され、国内はもとよりアメリカ、オランダなど海外にも輸出されている。
 ひときわ大きな花をつける八束町の牡丹は、大塚山公園に立つ展示温室「グリーンステラ」などで一年中、鑑賞することができる。これは、技術開発の成果によるものだ。町の花卉(かき)生産センターでは、まず開花時期を早める促成栽培に取り組み、冬場に咲かせることに成功。次に、夏に咲かせるための研究を進めたが、促成栽培の技術では限界があった。
 そこで着目されたのが、開花時期を遅らせる抑制栽培であ る。試験を重ねて、夏場の牡丹もみごとに開発。平成11年、花卉生産センターは牡丹の開花時期の調節方法において特許を取得した。
 同センターでは、現在でも定期的に花卉研究会を行っており、牡丹の品種改良をするほか、新しい農産物の開発や農業後継者の育成などにも努めている。
 八束町は牡丹のほかに、薬用人参の町としても知られている。人参栽培は今から約200年前、松江藩のころから始まり、現在では全国3大産地にランクされている。しかし円高不況や栽培従事者の高齢化などの課題を抱え、生産力の低下をよぎなくされている。そこで牡丹、薬用人参に続いて、砂地の土質を活用して、浜防風(はまぼうふう)の栽培にも力を注ぎ、「第三の特産品」として着実にその生産量を増やしている。
 さらに第四、第五の特産品開発も模索中で、今後の農業振興に期待がかかる。


全国自治体で初めて
インターネットサービスを開始

グリーンステラ
グリーンステラ
 町では、農協が設置していた有線放送の改修に合わせ、インターネットも利用できる地域情報システム「ネットワークやつか」の運用を平成9年に開始した。現在ほぼ全戸がこのシステムに加入している。「ネットワークやつか」に加入すると、家に専用電話機とスピーカーが設置され、スピーカーからは小中学校、商工会、婦人会などからの放送や役場からの緊急放送を聞くことができる。専用電話機では町内の加入者同士で通話ができ、三者通話も可能だ。
 また、別に福祉電話を設置すると、受話器をとらずに健康相談ができるほか、独居高齢者などが急に具合が悪くなった時など緊急通報もできる。
 さらにパソコンと接続することで、世界中からの情報を得たり、世界中に情報発信のできるインターネットを、個人なら月額2000円で時間を気にすることなく楽しめる。自治体がインターネットサービスを開始したのは八束町が全国初で、視察が後を絶たないという。
 町では、最近新たな動きが起ころうとしている。その中心となるのは、平成16年3月の完成をめざした江島大橋だ。
 「町の江島地区と境港市(さかいみなとし)を結ぶ江島大橋の開通に伴って、町内に県道が整備されます。この県道沿線の観光開発を進める予定です」と、門脇康雄(かどわきやすお)町長の夢は広がる。


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