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三瓶(さんべ)そば
〜新たなそばとして 復活を目指す伝統の味〜
三瓶そば  石臼でゆっくり挽いた粗目のそば粉が、透明感に満ちた細い細い三瓶そばとなってざるに盛られている。三瓶わさびを丸ごと摺りおろしただしと共に口に入れた麺が、豊かな風味と甘味を漂わせながら喉ごしよくお腹に収まっていく。「細いけれどコシがある」という表現よりは、「しっかりとした存在感がある」といった方が正しいだろうか。
 戦国時代から栄えた石見銀山の面影を残す大田市大森の町並み。そこにある1軒のそば屋でいただいた三瓶そばは、揺るぎない大地の息吹を感じさせる味だった。
 同市のシンボル的存在でもある「国立公園・三瓶山」の山麓では、江戸時代後期からそばの栽培が盛んで、祝いの席や年越しの食卓には欠かせない一品であった。
 明治10年に三瓶温泉に公衆浴場ができると入湯客の間でも評判となり、いよいよ三瓶そばの名声は高まった。しかし、昭和30年代後半からは農家の高齢化と共にそばの栽培面積が減少していった。
 そこで昭和59年、「本当の三瓶そばを復活させよう」と地元のそば好きたちが「九・一そばの会」を結成。地元のお年寄りたちに栽培を委託し加工に乗り出した。現在では収穫量も同会結成当時の2倍・3トンに増え、三瓶そばをメニューに載せる食事処も多くなりつつある。
 しかも三瓶そばは、ただ復活を目標にしているのではない。殻ごと挽いた色の黒い出雲そばとの差別化を図るため殻を外した白い粉で透明感を演出したり、現代人の嗜好に合わせて麺を細くしたりと新たな工夫を取り入れながら、出雲そばと並ぶ島根の味となる日を目指しているのだ。

◎問い合わせ先/大田市商工観光課 tel 0854-82-1600

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