私と島根

楽しい仲間と愉快な犬の思い出

清水 國明 しみず くにあき
タレント。後輩の原田伸郎とコンビを組み“あのねのね”を結成。昭和47年「赤とんぼの唄」でデビュー。以後、テレビ・ラジオの司会やコメンテーターとして活躍。アウトドアライフをライフワークとし、平成7年に“自然暮らしの会(ホームページhttp://www.bnl.co.jp)”を結成。自ら代表に就き、大自然の中での暮らしや遊びを率先して実行し、カヌーや丸太小屋、ナイフなどの道具も手作りで楽しんでいる。また芸能界ただ1人の国際A級ライダーとして2年鈴鹿8時間耐久レースにも参戦、見事完走を果たした。JBワールドプロとして国内外のトーナメントを参戦中。最近の著書に「備えあれば楽しい」「いい親やめよう」「清水國明の自然遊び日記」「人の釣り見て、わが釣り直す」などがある。

清水 國明

 横田町(よこたちょう)の三井野原(みいのはら)オートキャンプ場で1泊した朝、荷物を片付けテントもたたんだ後、みんなとのんびりしていた。予定されていたアウトドアイベントも無事終了して後は帰るだけ。2日間一緒に過ごした人たちだからすっかり打ち解け、冗談を言い合っているのだけれど、そろそろネタ切れと、いくらかマンネリでギャグが冴えなくなってきた。30分や1時間番組に出演するときのぺース配分には慣れているのだが1日中ベッタリだとさすがに会話も途切れがちになる。あまり間があくと、つまらない芸能人と思われてしまいそうな気がして、なんとか次の話題を探そうともがいていた。どうにも見つけられずにあきらめかけた時、1匹の白い犬がトコトコとこちらへやってきた。その場にいる誰かの犬のはずなのに、誰かれとなく愛矯を振りまいている。そして驚いたことに、その犬と向き合った人は、さっきまでつまらなさそうにしていたのに突然大爆笑するのだ。それにその笑いが犬の移動に合わせて伝染してゆく。犬においしいところをもって行かれ、芸能人の面目まるつぶれである。どうってことない普通の犬で首輪がなければノラ犬に間違えられそう。そんなやつに負けてしまった。悔しがっている場合ではない。せめて自分だけは笑ってなるものか、と気を引き締めて待った。でも、犬が目の前にやってきた時、笑ってしまった、思いっきり。眉毛が描いてあったのだ。誰かがマジックでいたずらをしたのだと思う。それだけなのにその場にいた全員がその犬のおかげですごく和やかな時間を過ごすことができた。そんなことがあったすぐあとで島根に再び訪れることになったのだが、今度はキャンプではなくコンサート。フォーク界の大先輩、小室等(こむろひとし)さんとのジョイントだった。会場の木次(きすき)町へ向かうバスの中で眉毛が描いてあった犬のことを話したら、面白いから歌にしようということになり、急きょ詩を書いて小室さんが楽屋で曲を付けてくれた。そんな即興の歌だったけれど、コンサートでは思った以上のウケかたで、ビックリ。会場内には一緒にキャンプした人たちが来てくれていた。NHKの「みんなの歌」にも選ばれたその時の「まゆげの唄」を歌うたび、楽しい島根の仲間と愉快な犬のことを思い出している。

オートキャンプ場に続く三井野大橋(横田町)
オートキャンプ場に続く三井野大橋(横田町)

[ 清水 國明 / 根本 りつ子 ]

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