特集
島根の観光新世紀

土地を訪れる人にとっても地域にとっても快適な観光地づくりを。島根県は21世紀の幕開けと共に、地域振興のカギを握る観光事業により力を入れている。豊かな自然、神話のロマンへと誘う歴史・文化、と恵まれた観光資源に加えて次々とオープンする観光スポット。そして整備が進む交通アクセス。これらを最大限に生かし、人々の交流と連携を生み出して行く。今、島根でしか体感できない“新しい旅物語”のシナリオ作りが進行中だ。
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鳥取西部地震の風評被害をバネに
イメージアップ作戦を展開

 加茂岩倉(かもいわくら)遺跡の銅鐸出土で古代出雲ブームに沸いた平成9年。全国的に島根が注目されたこの年、島根を訪れた観光客の入り込み数はピークを向かえた。県東部では松江城(まつえじょう)を取り囲む堀川を舟で周遊する「堀川遊覧船」が7月から運航を開始。JR松江駅を発着点に、市内の主な観光ポイントを回るレトロバス「レイクライン」と共に、松江を訪れる人たちを魅了した。平成11年は、県立美術館や堀川地ビール館のオープンも相次ぎ多くの集客に成功したが、県全体の観光客の入り込み数は、少しずつ減小傾向にあった。しかし、平成12年4月に浜田(はまだ)市で中四国最大級の水族館「しまね海洋館アクアス」がオープンし、県内外からの予想を上回る入館者で賑わった。周辺の温泉や観光施設との相乗効果もあり、県西部が大いに活気づいたことで、平成12年・県全体の観光客入り込み数は、再び上昇する兆しにあったが、10月に起こった鳥取西部地震の影響を受けることとなった。出雲大社をはじめとする県内の観光地・宿泊施設への被害はほとんど無かったにもかかわらず、風評から観光客数は県全体で前年の3割減となった。県では全国紙やテレビCMなどで「島根の元気な姿」をアピールしたり、観光宿泊施設のオーナーたちと連携し、東京・名古屋・大阪など首都圏で積極的なPR作戦を展開している。
 平成13年は、山陰道・安来(やすぎ)−宍道(しんじ)間の開通やJR山陰本線で線路の改良と新型車両が導入され、松江−益田(ますだ)間が2時間に短縮されるなど、県の交通網が高速化される節目の年だ。交通アクセスの整備によって交流人口の広がりに大きな期待が高まる今、より多くの人たちに島根の魅力を発信するため、県の総力をあげて、観光キャンペーンを展開していく。

地域住民参加型のキャンペーン展開で
快適観光地しまねの仕掛けづくりを

 『しまね神話から新話へ』
 大型観光キャンペーンのネーミングは全国から集まった2,105点の応募作を参考に練り上げられた。「神話のふるさと島根」というイメージは全国的に定着しているが、その場所を訪れた人たちが地域とのふれあいを通じ、その地域でしか味わえない魅力を満喫してもらおうという願いがこめられている。
 旅のスタイルは時代とともに様変わりしている。大人数で行動する団体旅行からマイカーを使った個人・小グループ旅行へ。また、単に景勝地を「見てまわる」観光から「体験する」観光へ。このような観光客の多様なニーズに対応していくことが観光地にとっては不可欠な課題だ。これまでの島根は、出雲大社(いずもたいしゃ)・松江城周辺・津和野(つわの)・隠岐(おき)の島々、と全国レベルの観光資源を有しながらも位置的な問題から観光客が分散化したり、季節変動が大きかった。キャンペーンでは、冬の日本海の美しさなど、まだ県外の観光客に知られていない見どころも含めて大いにアピールしていくのが狙いだ。
 大型観光キャンペーン「しまね神話から新話へ」は3月から12月にかけて、県全域で繰り広げられる。訪れた人たちを地域が温かく迎え、地元の人たちも一緒に楽しめるような企画が数多く用意されている。島根県を松江、雲南、出雲、大田・邑智(おおち)、浜田、益田・津和野、隠岐の7圏域に分け、それぞれの圏域の魅力をPRする7つのイベントを実施するほか、5月3日から16日まで、「響け!しまねの鼓動」と題した記念イベントを出雲大社で開催。同12日には中村橋之助さんが創作舞「IZUMO」を大社境内で上演されるほか、出雲田楽パレード・映像ショーなどで、島根の歴史や文化を華やかに紹介していく。今回の観光キャンペーンは、県の地域振興の理念である「全県フィールドミュージアム化」の考えに基づいている。これは、豊かな自然や歴史・文化を地域間で連携して最大限に活かすというものだ。そして、地元の人々が主体的に参加しながら地域の新しい魅力を発見するというまちおこしの狙いもある。県では、このキャンペーンを来年以降にもつなげ、「快適観光地しまね」の実現を目指していく。

島根県観光キャンペーンポスター


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