島根の鼓動
むいかいちちょう
六日市町
地図 水は生命の源であるだけでなく、
文化や精神の源ともいえる。
清らかな高津川(たかつがわ)が流れる六日市町は
“水源のまち”として、
水と自然を生かした事業を展開し、
その存在感を高めようとしている。
 六日市町には、約60ヘクタールにおよぶコウヤマキ自生林が広がっている。
 コウヤマキとは日本特産の有用樹で、高野山に自生していたことから「高野槙」の名が付いたという。
 コウヤマキ自生林を町と一緒になって保護しているのが「自然と趣味に生きる会」だ。年1回開催されてきた観察会は今年で10回目を迎え、毎回の参加者は100名を越えるまでになった。
 「お寺の多い六日市町では、コウヤマキを生命カの強い霊木としてあがめ、昔から木を切ることを戒めてきました。町民の精神的なよりどころでもあるんです」と、槇田会長は語る。コウヤマキ自生林を守り続けてきたのは、六日市町に古くから伝わる地域文化なのである。
topics 自然と趣味に生きる会

古(いにしえ)より、母なる川といわれた高津川
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大蛇ケ池で行れる雨乞い神事
 水面をきらめかせて、穏やかに流れる高津川。全国に109カ所ある一級河川の中でも、平地で水源地が特定できるのは高津川だけである。六日市町には、この高津川の水源地大蛇ケ池(だいじゃがいけ)があり、池のすぐ側には樹齢1000年以上といわれる一本杉が立っている。その姿は神々しくもあり、神聖な水を生み出す大蛇ケ池を見守り続けてきた存在感にあふれている。
 古来より水と向き合ってきた六日市町では、水によるまちづくりを展開している。水源地付近には水源公園が造られ、園内の「水源会館」では“人と川”の深い関わりを知ることができる。
 また、高津川の支流である高尻川沿いには、「安蔵寺(あぞうじ)山麓ゴギの郷(さと)」も整備されている。ゴギとはイワナの仲間で最上流の渓谷に生息する「幻の魚」と言われている。ゴギの郷では、この幻の魚を見ることのできる親水公園があり、“人と自然”のふれあいの場として親しまれている。

可能性を秘めた新名所むいかいち温泉
 中国自動車道・六日市ICのすぐ側に、今年5月、「むいかいち温泉ゆ・ら・ら」がオープンした。この温泉は豊富な湧出量を誇り、プール、宿泊施設などを備えていることから、県内外から大いに利用されている。サウナでのハーブを使った香りの実演、プールでの水泳教室、水中運動プログラムなど、健康増進のための個性的なメニューも好評で、8月には入館者5万人を突破、当初の目標(年間15万人)を上回るぺースで利用者を伸ばしている。
 町では今後、むいかいち温泉を中心として、県の自然環境保全地域に指定されているコウヤマキ自生林、薄紫やピンクの花を咲かせるカタクリの里、新緑や紅葉の美しい長瀬峡(ながせきょう)などを結んだ観光コースを設け、長期滞在型リゾート地としての魅力を高めようと構想を練っている。一方、企業誘致と福祉施設の充実にも積極的だ。中国自動車道・六日市ICを擁するという好条件から、町内には現在、9社の誘致企業が点在し、地元の経済に活力を与えている。
 「平成5年に介護福祉専門学校が開校しました。昨年できた特別養護老人ホーム、既存の養護老人ホーム、杜会福祉センター、デイサービスなどの施設を一つのゾーンに集中させ、横の連絡をとりやすくしています」と、将来を見すえた総合的な視点から七五三(しめ)町長は語る。
 過疎に悩む市町村が多い中で、県西部では唯一、わずかながら人口増加が見られる六日市町。小さな町の大きな飛躍に今後ますます期待が集まりそうだ。

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「むいかいち温泉ゆ・ら・ら」

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