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足立美術館の雄大な日本庭園(安来市)
私と島根
片岡鶴太郎

河井寛次郎に魅せられて片岡鶴太郎
 私にとって島根県は、陶芸家河井寛次郎の出身地としてのイメージが強い土地です。以前、ドラマで版画家棟方志功の役を演じたことがあるのですが、彼を見いだし、世界的な版画家にしたのが寛次郎さんで、その出身地である安来市とはどんなところなのか、興味を持つようになったのがきっかけです。
 私自身、棟方志功画伯の作品は好きで、志功さんの絵を見る機会も多いのですが、志功さんと寛次郎さんの作風は、そのダイナミズムや奔放さなどで、かなり共通するところがあります。その寛次郎さんの作品が、安来市の足立美術館には多数収められていると聞き、ぜひ一度行ってみたいと思っていました。
 それが叶ったのは、平成11年の9月のことです。テレビ番組で島根・鳥取両県の観光地を訪れることになり、そのうちの一つが足立美術館だったのです。
 実際に訪れた足立美術館は、「すばらしい」のひと言でした。とにかくスケールの大きさが印象的で、東京では考えられないことばかりです。広大な敷地の中に展示された膨大な作品群、後ろの山々を借景にした雄大な日本庭園。これが個人の持ち物というところが、また驚きです。寛次郎さんの作品はもちろん、北大路魯山人さんや横山大観さんの作品などには、ただただ圧倒されるばかりでした。その時は仕事で行ったわけですが、今度はぜひプライベートでゆっくり訪れたいですね。
 この番組では、ほかに松江城周辺や宍道湖、隠岐なども訪れました。いろいろ訪ねた中から印象的なものを一つ絵にすることになっていて、私が選んだのは隠岐で行われる牛突き用の牛です。家畜の牛とは筋肉の付き方がまったく違う、その勇壮な美しさにすっかり心をつかまれてしまったのです。モデルにしたのは横綱の牛ですが、ただ立っているだけでも大変なエネルギーがビンビン伝わってきました。これはまさに、闘う牛ならではのものでしょう。緊張と興奮の混ざった気持ちで描いたことを、今も覚えています。
 このとき描いた絵は、隠岐のモーモー・ドームに持っていただくことに致しました。隠岐を訪れた人に見てもらえると、うれしいですね。(談)

かたおか つるたろう
タレント・画家。昭和29年東京都生まれ。高校卒業と同時に片岡鶴八に師事。3年後独り立ちし、テレビのバラエティ番組を中心に活躍する。33歳のときにプロボクシングライセンスを取得、同時期に出演した映画の演技で高い評価を受け、以後役者としての地位も確立する。40歳で墨彩画に魅せられて絵を描き始め、平成7年には初の個展を開くなど、画家としての活動も行っている。

[ 片岡鶴太郎 / 日のり子 ]

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