島根の鼓動
邑智町
地図 「中国太郎」の異名を誇る江の川が大きく蛇行し、
昔から川と共に生活してきた邑智町。
都会に住む人や若者たちが自然回帰への
意識を高めている昨今、
邑智町の自然と共存するまちづくりが、
広がりを見せようとしている。
 「ゴールデンユートピアおおち」では音楽を通じて楽しく健康を維持しようと、高齢者を対象に週4回、療育音楽を取り入れた「ドレミ倶楽部」が開かれている。みんなで大きな声で歌ったり、タンバリンや太鼓などの打楽器を合奏しながら身体を動かしたりと、和気あいあいとした雰囲気だ。
 「指を動かして打楽器を打つと脳が活性化します。歌で声を出すと肺の強化にもなるんですよ」と指導スタッフ。1時間半の活動の後は、施設を利用して温泉につかったり、陶芸の絵つけを体験したりと、参加者の生きがいともなっている。平成7年の活動開始から早5年。現在は約100名の町民が「ドレミ倶楽部」に参加している。
topics ドレミ倶楽部

写真 世界に広がるカヌー交流
 邑智町は悠々と流れる江の川を活かした、カヌーの町として知られている。そのきっかけとなったのは、昭和57年のくにびき国体である。カヌー競技の会場となり、邑智高校カヌー部の活躍が、その名を広めることとなった。
 その後、平成3年にはカヌー博物館が開館。博物館周辺を「カヌーの里おおち」と名付け、カヌー工房、トレーラーハウスなどが次々に整備された。
 産業体験研修制度として、3年前からはカヌー研修生の募集も始まった。全国から応募があるほど好評で、県外から毎年2名の研修生を受け入れ、町内の若者に活力と刺激を与えている。1年間の研修を体験した終了生の中には、邑智町の素朴な自然と温かい人情に触れ、Iターンを希望する人が多く、町では町内就職の情報提供、住居の確保など定住化対策に本腰を入れ始めた。
 また、カヌー製作の依頼が縁でインドネシア・バリ島マス村と友好協定を結び、バリ島への修学旅行をはじめとする人の交流や、木彫り・石彫りなどの多彩な文化交流が盛んに行われている。
写真 広域活動と健廉づくり
 江の川は、町村の垣根を越えた活動をも、もたらしている。江の川流域市町村が連携し、「きれいな水づくり」「流域文化の再発見」を目的に江の川文化圏会議を結成。美しい水辺環境を守ろうと、統一して「河川美化条例」を制定した。それがきっかけとなり、平成11年には邑智郡7町村が共同でごみ処理施設「笹畑クリーンセンター」を建設するなど、スクラムを組んで環境整備を進めている。
 「私達が子どものころには、よく江の川で泳いだり、遊んだりしたものでした。自然は強さや厳しさ、やさしさを教えてくれます。これからも大切に護っていきたいですね」と、林興平町長は語る。
 恵まれた自然が残る一方、邑智町の高齢者比率は37.5パーセントに達している。
 邑智町では、この状況を町民全体のこととして受け止め、長寿大学の開校など、年配者が社会交流できる場を積極的に支援している。とくに健康増進施設「ゴールデンユートピアおおち」では、温水プールを活用して健康リハビリ教室などが開かれ、町内だけでなく近隣市町村の人々の健康づくりと生きがいの場としても親しまれている。
 邑智町では、今年度庁舎改築が始まり、高度情報化社会に対応するサービスシステムの構築などにも着手される予定だ。“自然と人間の共生”をまちづくりの根源におく邑智町のネットワークは、今後さらに大きく翼を広げることだろう。

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