島根の鼓動
多伎町
地図 古くは『出雲国風土記』にその名を残す多伎町。
いちじくの町として知られる一方、
町の未来像に出雲地方の健康拠点としての
役割を果たすまちづくりを掲げ、
岐久海岸を中心に快適な海辺空間の整備が
進んでいる。
 全国の人に多伎いちじくを食べてもらおうと、町の呼びかけで生産農家の女性が集まり、平成9年から活動を開始したのが「レディースfig」だ。「保存のできるいちじく食品」をテーマに、メンバーたちは商品開発にアイデアをしぼっている。
 毎年、10品目前後の新商品を考案し、現在までにタルト、アイスクリームなどを町に提案。今春は季節限定で、弾力のある歯ごたえが特徴の菓子、グミを商品化して大好評だった。
 また、近年は梅シャーベットなど、いちじく以外の特産物を使った商品づくりにも取り組んでいる。メンバーの愛情と工夫がにじむ商品は毎月第3日曜日、「道の駅キララ多伎」の朝市で販売されている。
topics レディースfig

写真 豊かな自然に恵まれたいちじくの町
 “海と光、緑と水”をキャッチフレーズにする多伎町は、日本海に面した山紫水明の地。この自然豊かな町の中核施設として、ひときわ目を引くのがレンガ造りも美しい「道の駅キララ多伎」である。店内の特産品販売コーナーには、いちじく商品が並べられており、商品の種類が豊富だ。
 多伎町では古くからいちじくが家庭果樹として親しまれていたが、水田転作作物として脚光を浴び、昭和45年ごろから、本格的に栽培されるようになった。当初は知名度が低い上に都市への販路もなく、栽培普及にも労を要したという。しかし、潮風が吹く多伎町ならではの気候風土が、とろりとした甘味のある柔らかないちじくを育み、その生産規模は年々拡大。ワインシロップ・ジャム・姿煮・ラーメン・ソフトクリーム・ワインなど、いちじくを素材にした商品開発も積極的に行われ、現在では全国に知られる「町の顔」と してのブランド化に成功している。
 また、水産業においても、漁場造りや手のひらサイズに育ったマダイなどを放流して漁獲高の確保に努めているほか、「うにのびん詰め」などの商品開発による漁業の活性化に取り組んでいる。
写真 海とふれあう健康海岸の整備
 「道の駅キララ多伎」の裏手には岐久海岸が広がり、ゆるやかな曲線の海岸線は「くにびき神話」を彷彿させる美しい景観となっている。もちろん夏には、多くの観光客でにぎわう海水浴場でもある。
 町では、この美しい海浜を舞台に、平成5年から、保養とレジャー施設の整備に着手した。整備計画は「岐久海岸CCZ(コースタル・コミュニティ・ゾーン)整備計画」と呼ばれ、現在までに「道の駅キララ多伎」をはじめ、砂浜を守る人工リーフ、海岸道賂、海浜に親しみやすい護岸など、総合的な整備がなされている。
 今年4月には、その名の通り日本海を一望できる「見晴らしの丘公園」に、新たにログハウスがオープンして語題にもなった。
 「私たちの町は建設省と厚生省により“海と緑の健康地域(健康海岸)”の指定も受けました。人口の伸び悩み、離農などの課題はありますが、健康文化をテーマに、町の自然を上手に生かしたまちづくりに取り組みたいと思います」と、伊藤裕町長のおだやかな口調に熱意がこもる。
 これからの時代、健康に対する関心はさらに高まることだろう。付加価値の高い特産品づくりと健康海岸の整備を目指す多伎町の取組みは、ひとつのまちづくりを示唆しながら、確かな明日を築き始めている。

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