仁多もち
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奥出雲に息づく
   古来より変わらぬ
       米づくりの心

雑煮の主役といえば餅。湯気が立ち昇る臼うすに向かって杵を振り下ろす餅つきは、島根でも見かけることが少なくなった風景の1つ。JA雲南うんなんの「しまね仁多もち」は、そんな日本古来の風景を思い出させてくれる餅だ。

県東南部の奥出雲地方、中国山地の山懐に抱かれた仁多郡は、出雲国風土記に「是は豊潤にたしき小国おぐになり 故に仁多と言ふ 此の地田良し」と記されているほど、古くから良質米の産地として有名な米どころだ。山間地の花崗岩から湧き出るミネラルをふんだんに含んだ水、稲穂の成長期に東北の米どころと変わらないほど昼夜の温度差がある自然環境。そして、和牛の堆肥を還元して土を作り、農薬に極力頼らない農法を貫いて、「はで」と呼ばれる稲掛けで天日乾燥させる、という昔ながらの手間をかけた米作りへの姿勢。こうして自然と生産者が一体となって育てる「仁多米」は、うま味をたっぷりと含んだつややかな米として、西日本を中心に「新潟産米に劣らない」という評価が広がっている。

仁多もち
その仁多産の餅米を使った「仁多もち」は、餅本来のうま味に加えて豊かな伸びと粘りがあるのが特徴で、雑煮にしたときに煮くずれしないコシの強さと歯ごたえを併せ持つ。県内を中心に、九州、関西、関東方面へ出荷され、各地で好評を得ているのも納得できる味だ。

餅の粘りを一番引き出すといわれる杵つきの工程は機械化されているが、餅を平たく成形する工程はすべて従業員の手によってなされる。「母親が作るおにぎりがおいしいのは心を込めて握っているからですよね。それと同じで、手をかけて育てた米を人間が大切に餅にしている、という心。これだけは、機械では伝わりません」。そう話す担当者をはじめ、生産者全員が米への愛情を持っている。餅の消費量が減少するなか、店頭でほかの餅の1.4〜1.5倍の価格で販売されていても、ここ数年「仁多もち」の売り上げが減少しないのは、そんな心の隠し味が消費者に確実に伝わっているからかもしれない。

◎問い合わせ先
JA雲南仁多生産センター加工課
TEL0854−54−1391


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