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生姜糖
出西しょうがと共に生き続ける300年来の繊細な味

斐川町の隣にある平田市の來間屋くるまや生姜糖本舗は、出西しょうがの風味を生かした和菓子『生姜糖』を作り続ける老舗の菓子屋。生姜糖は江戸末期の正徳5(1715)年に、8代前の先祖である來間文左衛門が考案したと伝えられているから、以来300年近く変わらぬ味を伝えていることになる。

乳白色をした銘菓は、板のチョコレートを大きくしたような平たい板状で、「素朴な」という表現がピッタリとくる姿。折りやすいように入れられた溝にそって割った半透明の白い一片を口に入れてみると、サクサクとした歯ごたえの後、ホロホロっと舌の上で溶けてさらっとした甘み広がっていく。それと同時に口の中を満たす、鮮烈な出西しょうがの辛みと上品な香り。無造作ともいえる外観からは想像できない、繊細で清涼感のある味わいだ。

江戸時代には将軍家に献上され、第二次世界大戦中には兵士への慰問品となって喜ばれたこの生姜糖。現在でも出雲地方のお茶請けには欠かせない菓子であり、お土産や贈答品として多くの人が買い求める出雲の味だ。

生姜糖 材料は、水と上白糖とすりおろした出西しょうがの絞り汁のみ。これを炭火で煮詰め、頃合を見はからって火から下ろし銅の型に流し込んで冷やす。すべて昔ながらの手作業で作られるため量産はできない。1枚の生姜糖に使われる出西しょうがはおよそ10個。普通の生姜で試したこともあったが、清涼感あふれる味が出ないばかりか長い繊維がすりおろすときに絡まって使えないのだという。

「火から下ろすタイミングが早いとアメのようにカチカチになるし、遅いとカルメラのようになってしまいます。砂糖が細かな結晶の固まりになるように仕上げないと駄目なんですよ」。そう話すのは11代目のご主人久ひさしさん(30歳)。今年の春コンピューター関係の会社を辞めて、先代の跡を継いだばかりの若いご主人だ。

「この間、古い文献に、昔は和三盆わさんぼん(結晶の細かい上質の砂糖)を使っていたという記述を見つけたので、これからはそういうことにも挑戦していこうと思っています」。気負うことなく決意を語る若い主人。300年続く伝統の味はこれからも変わることなく脈々と生き続けるに違いない。

◎問い合わせ先
(財)平田市地域経済振興センター TEL0853-63-5575


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