地元の特産品の原料となる大豆の栽培作業
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しまねの鼓動

◆弥栄村やさかむら

中国山地の深い緑に抱かれた弥栄村では、人と自然と「食」を大切にした農林業が盛んだ。昔見たのどかな日本の山村風景と、村の心に惹かれた都会の人との交流が活発に行われ、「田舎暮らし体験リゾート」という新たな観光地のスタイルを目指した村づくりが進んでいる。

おいしくて安全な食べ物づくりが基本

「山ふところの生活文化村」をテーマに、豊かな自然の魅力を生かした心豊かな生活の場づくりを進める弥栄村は、島根県西部、中国山地のほぼ中央に位置する人口約1900人の小さな村。標高100メートルから900メートルに広がる面積の約9割が山林で、農林業が主な産業である。

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ケヤキやクヌギの自然林が広がり、渓流にヤマメが住む弥栄村には、自然の恵みがあふれている。
「おいしい食べ物づくり」を基本とする弥栄村の農業は、村内の作物を村内で加工するという付加価値の高いものだ。転作大豆を使った「やさかみそ」は、澄んだ水と寒い気候を生かした特産品の一つ。完熟トマトをジュースにした「もぎたてトマト」や村で育てた酒米で仕込んだ地酒「やさか仙人」など、弥栄産の「心と身体によい食べ物」は数多い。その原材料のほとんどが有機農法で育てられているのは、村をあげて土づくりからの農業をバックアップしているからこそ、できることだ。

オープンな農村でさまざまな体験をする都会の人たち

弥栄村では作る側と食べる側とが食を通じてふれあう「場づくり」にも積極的だ。その拠点となる「ふるさと体験村」では、渓流釣りや農作物の収穫を体験する「ふれあい体験」、短期間村に住んで農業体験をする「農業体験交流」など、都会に住む人々を対象にした農村体験メニューが年間を通じて盛りだくさんに用意され、県外各地から多くの人が訪れている。

一方、林業の方では、平成7年に村内に設立された「島根県西部山村振興財団」が活発に事業を行っている。この財団は民間企業数社と江津市以西の13市町村が参加し、間伐材などの豊富な地元森林資源を利用した商品開発と資源や市場の情報収集などを進めており、島根県西部の林業振興の推進役として期待がかかっている。

また、1000ヘクタールある村有林の約半分を村民の森とし、林業従事者の就労の場を提供しながら、将来へ誇れる森林を残そうと努力を続けている。「100年経ったら素晴らしい森になって、弥栄の観光の目玉になるでしょうね。まぁ夢を育てているようなものですが」と語る村上村長。

こうした積極的な農林業への取り組みに共感して弥栄村へIターンを希望する人も多く、現在8人が農林業研修生として汗を流している。

豊かな自然と安全性の高い食料は暮らしの基本だ。弥栄村は、その基本を大切にしながら、21世紀に向けて大地に根ざした村づくりを進めている。

topics ふるさと体験村「ふるさと交流館」
「ふるさと体験村」に、今春新たな交流の場がオープンした。「ふるさと交流館」と名付けられたこの施設には、地元産の材料を使ったそばうち、豆腐作りといった体験ができる実習室や、研修室が備えられている。ほかにも、弥栄村で採れる薬草が入った薬湯や、木酢液のお湯が楽しめる浴室もあり、県外からの利用者にも好評だ。
会社の研修や駅伝チームの合宿、「弥栄の山菜を食う会」など、すでにいろいろな形で利用されており、都会の人との交流が一層深まっている。

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