石飛 鴻 知事対談

●島根県知事
 澄田信義
●書画家
 石飛 鴻

島根の豊かな
文化と地域づくり

澄田信義
石飛 鴻
本名:石飛 赴。書画家。はたご小田温泉、茶寮清泉亭主人。多伎町出身。東洋大学大学院卒、武蔵野美術短期大学卒。旅館の後継者として昭和50年Uターン。家業と並行し、国際的に創作活動を続ける。昭和44年日展入選、昭和62年パリ ル・サロン優秀賞、平成2年フィナール国際美術展グランプリをはじめ国内外で多数受賞。多伎町文化財専門委員として文化財の復興や保存にも尽力。パリ サロン・ドートンヌ会員、パリ ル・サロン永久会員、日本国際美術家協会会員ほか。
澄田信義
島根県知事。島根県出雲市出身。東京大学法学部卒。和歌山県警察本部長、日本国有鉄道常務理事を経て、昭和62年より現職。現在4期目。

自然に恵まれた旅館の主人は芸術家

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「多伎々姫之図」(画:石飛鴻氏)
知事 石飛さんは、東京で活躍されていたのをUターンして家業を継がれたんですよね。
石飛 はい。大学で書や美術を勉強し、その後創作活動をしていましたが、両親が年を取るにつれ私の代でこの旅館を無くしてはいけないと思い、28歳のとき妻とともに帰ってきました。そして、旅館に併設して新しくこの「清泉亭」を2人で興したんです。
知事 ここに、県立三瓶自然館の名誉館長をしていただいている柳生博さんが来られて、すぐ横を流れる小田川に天然のアユがたくさん泳いでいた、と感激して語ってくださったことがありました。
石飛 ええ、みなさん喜んでくださいます。アユは、「出雲國風土記」に記載されているほど古くからいたようですし、松平不昧公に献上したという記録や、明治時代には、大町桂月がアユ取りをして遊んだという記録も残っています。日本海も目の前ですし、山菜もこの辺りで調達できますから、お客様には地元の旬の味覚を堪能していただけます。
知事 自然の豊かな恵みを工夫して家業を発展させると同時に、石飛さんは書画家として世界的に活躍していらっしゃる。昨年、地元多伎町での個展を拝見し、私も感心しました。
石飛 ありがとうございます。現在は主に水墨で抽象画を描き、パリのサロンに出展しています。国際展に出品できたり、そこで評価をいただいたり、平成8年にはパリで個展を開かせていただくなど、非常に幸せだと思っています。

地域を担う人材育成

石飛 僕は今、水墨画の教室を持たせていただき、僕より年長の生徒さんを教えているんですが、その人の特色は何で、どうしたらその良い点を伸ばせるか考えます。そんなとき、教育の仕方をどうするか、あるいは、人材を発見し活用することが大事じゃないかと思いますね。
知事 そうですね。私どもも島根県を発展させる根本は人であるという考え方で、各地域で人材養成に取り組んでいます。浜田市にある国際短大は平成12年4月に4年制大学に昇格させようと現在整備中です。出雲市には看護短大を設置しました。また、江津市にポリティックカレッジ、さらに国立島根大学に総合理工学部、国立島根医科大学に看護学科を新設するために力を尽くしました。大学以外にも、昨年4月にスタートした赤来町の中山間地域研究センター、今年4月大田市にオープンした県立女性総合センター、さらに、平成13年松江市にできるソフトビジネスパークなどを活用して、さまざまな分野で活躍し地域のリーダーになる人材の養成を進めています。
石飛 科学技術は日進月歩ですから、財産というとやはり人ですね。
知事 それが大事です。さきほど大町桂月のことを言われましたが、島根県は当時破格の待遇で彼を中学校へ招いた。小泉八雲の場合も同じ。つまり、教育や文化に情熱を注ぐ気概が昔からあったということです。
石飛 教育や人材育成は島根の伝統ですね。
知事 そう思います。文化振興の面でも、平成3年に23億円の基金で始めた「しまね文化ファンド」があり、地域の500余りのグループを支援してきました。これからも各地域のさまざまな団体や個人を支援し、育てていきたいと思っています。

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和歌山権現参道入口の鳥居と、その横に立つ大町桂月文学碑


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