写真
仁摩サンドミュージアム
「鳴き砂」という、財産を持つ仁摩町。
古くから砂を大切にしてきた「砂の町」は今、環境保全を訴える町として、
全国に向けて発信している。
島根の鼓動 仁多町

「砂」の町から「環境保全」の町へ
砂の上を歩くと「キュッキュッ」と心地よい音が聞こえる。全国に数十力所ある鳴き砂の中でも、仁摩町・琴ケ浜の砂はよく鳴ることで名高い。源氏に敗れた平家の姫が流れ着いたという伝説も残るこの砂浜は、古くから親しまれてきた町民の誇りだ。
仁摩町は、東西に長い島根県のほぼ中央に位置する人口5000人程度の日本海に面した町だ。琴ケ浜はこの海岸線の南側2キロメートルに渡って広がる。仁摩町が「砂の町」として全国に知られるようになったのは、平成3年にオープンした仁摩サンドミュージアムによるところが大きい。館内に仁摩町のシンボルとして作られた世界一の砂時計・1年計砂時計を有し、「砂の博物館」として毎年7万人の観光客を集めている。砂にちなんでピラミッド形をしたこの建物は、イベントやパーティーなどにも利用され、町民の集いの場としても活用されている。
「砂の町」として発展してきた仁摩町は、ここ数年新たな展開を見せている。鳴き砂は、環境汚染に非常に敏感な砂である。茶碗一杯の砂の中に、チョークの粉を耳かき一杯入れただけで鳴らなくなる。この鳴き砂を守るため、昔から町民一体となって海や砂浜の美化対策に取り組んできた。その実績を生かし、環境保全の大切さを訴え始めたのだ。世界5カ国鳴き砂調査や鳴き砂シンポジウムを開催したり、平成9年には全国鳴き砂サミットの開催地にもなった。環境問題における重要な情報発信地となりつつある。

住民の声を町政に生かす
仁摩町は、地域に根ざした、町民が住みやすい町づくりにも力を注いでいる。そのための重要な指針となるのが、年に一度開かれる「ふれあい町民対話のつどい」だ。町民に町内4力所の公民館に集まってもらい、町長はもとより助役や管理職全員が参加して、日ごろの要望や不満を聞く。「町民の要望をできるだけ叶える」という池亀貴町長の方針どおり、街灯の増設や駐車場の拡張、道路の整備・補修など、集いから出た要望がすでにいくつも実現されている。
もう一つ、町ぐるみで積極的に取り組んでいるのが、囲碁の振興だ。仁摩町は、囲碁界で碁聖と称えられる本因坊道策名人の生誕地である。この本因坊名人にちなんで、高齢者から子供まで囲碁を広く普及しようというのだ。町内の小・中学校に囲碁クラブをつくったり、プロ棋士を招いての大会も開催している。この町で育った子供たちがやがて囲碁界に大挙し、砂の町・仁摩が「囲碁の町」としても知られる日が楽しみだ。

 
風物詩 時の祭典   名所 琴ケ浜   特産品 わらじ
時の祭典 琴ケ浜 わらじ
大晦日に仁摩サンドミュージアムで行われる。翌年の年男・年女108人が館内の1年計砂時計を反転させ、新しい年を迎える。イベントやコンサートなども催される。 「鳴き砂」で知られる延長2キロメートルの砂浜。夏は海水浴客で賑わい、7月下旬には県内最大のビーチバレー大会も開催される。 高齢者の活性化対策の一つとして昭和60年ごろから生産が始められ、町の代表的な特産品になった。京都・太秦撮影所にもおさめられており、年間約7000足を生産している。

島根の鼓動「平田市」
30号目次へ