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河下港
穏やかに広がる宍道湖と紺碧の日本海。
平田船川の北には緩やかな山々が連なる。
かつて、木綿取引の中心地として賑わった妻入りの商家が並ぶ平田市は、
溢れる自然と本物を知る人々が暮らすまち。
島根の鼓動 平田市

豊かな自然が育む「田舎の感性、田舎の贅沢」
人口およそ3万人。松江市と出雲市の間に位置する平田市は、かつて、市内を流れる船川と宍道湖の水運を利用した木綿の集散地として栄えたまちだ。
昭和30年、県内で8番目に市制を施行した平田市は、山・海・川・湖と、変化に富んだ自然に囲まれている。穀倉出雲平野の北部には、秋ともなると黄金色した稲穂が絨毯を敷き詰めたように広がり、北側に連なる山々では特産品のカキが実る。また、日本海で捕れる魚種は、トビウオ、ブリ、ヒラメ、アマダイと豊富で、とくに十六島の海苔は、江戸時代に松江藩が幕府に献上したという最高級品だ。そして、宍道湖ではシジミ漁をはじめ、冬にはシラウオ漁の姿も見られる。この美しく豊かな環境がもたらしているものは、大らかな人間性と、暮らしの中に息づく本物の贅沢を知る心だ。
平田市は、「田舎の感性、田舎の贅沢」をキャッチフレーズに、昔ながらの伝統や文化を大切にしながら、暮らしやすさの実現にむけて歩んでいる。

地域の特性を活かした暮らしやすいまちをめざして
高齢化、過疎化が進む中で暮らしやすさを考えたときに、欠かせないのが交通の便だ。平田市では、平成10年10月から民間のバス路線の廃止に伴って、既存の路線バスに福祉サービスを兼ね備えた市営バス、「平田市生活バス」を運行。料金は以前の半額以下で利用でき、地元の特産品を描いた車体のデザインとともに市民から好評を得ている。
また、平成9年、平田市の中心が豪雨で一面浸水し多くの被害が出たため、現在、市内の中心を流れる船川、湯谷川を改修し、住みよい都市づくりに取り組んでいる。この事業で新しく団地を造成、平田中学校も移転新築される。完成予定は、平成11年。新たな居住・教育・商業などの都市機能の集積する市街地が誕生するのが待ち遠しい。
平田市ではここ数年、「ひらたフィッシングゲーム」と銘打っての釣りゲームや朝市の開催など海を生かした地域振興が盛んだ。港の開発では、念願の5000トンバース完成に向けて河下港の開発が始まった。この事業により河下港は島根県東部の重要港湾として位置づけられ、海運を利用した産業の活性化が実現する。
豊かな自然は、資源の宝庫だ。それをどのように生かすかは、行政はもちろん地元住民のやる気と腕しだい。平成9年から始まった、地元の資源を活用したビジネスアイディアの事業化を支援する「夢おこし起業大賞」の応募には、今後どのようなアイディアが寄せられるのか。田舎の本当の贅沢を知る人々の挑戦に期待がかかる。

 
風物詩 平田一式飾り   名所 鰐淵寺   特産品 アマダイ
平田一式飾り 鰐淵寺 アマダイ
平田市に200年も昔から伝えられる庶民の民俗芸術。陶器、仏具、金物、茶器類一式を使い分けて物語などのシーンを描き、その技巧とアイディアを凝らした飾りが競われる。 天台宗の古刹で、寺伝によると推古2(594)年開山。推古天皇の時代に作られた銅像観世音菩薩立像(重要文化財)など文化財の宝庫。また、秋の紅葉や弁慶ゆかりの寺として有名。 平田市の佐香地区のはえ縄漁で捕れる日本海の幸アマダイ。旬は晩秋から早春で、塩焼きにしたり、白みそやかす漬けを焼いて食べる。柔らかく上品な味覚が絶品。

島根の鼓動「仁摩町」
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