体 験 ル ポ
緑のゲレンデで自然を満喫
グラススキー
大好きな季節がやってきた
いっせいに動き始めた花や虫たち
もうじっとしてなんかいられない
春の芽吹を感じながら大自然に抱かれたい
はやる気持ちと高まる時期を抑えつつ
車にスキーと春の香りを詰め込んで
さあ、出発!
写真
自然と一体になる爽快感。緑のゲレンデは4月から11月までのロングプレイステージだ

写真安来市から南へ30分。走れば走るほど車は山の中に入って行く。突然、左右の山々の上方に目を見張るほど鮮やかな帯状の赤色が出現。それは上の台緑の村に到着したことを知らせてくれた。私たちを歓迎してくれたのは、華やかに咲き誇るチューリップだった。
"はな開くまちづくり"を進める伯太町は島根県の最東端に位置し、西日本一のチューリップ畑を持つ花の町。数多くの古墳がある自然公園に、その恵まれた環境を生かしてアウトドアレジャー施設「上の台緑の村」が昨年4月オープンした。
コテージやキャンプ場、トリムコースや子供広場を家族連れで楽しむのもよい。また人工芝スキーゲレンデやスーパースライダー、マウンテンバイクコースも整備され、思う存分アウトドアが楽しめる。
のんびりと広がる茶畑の脇の小道を歩いて登る。小道の両側の愛らしいチューリップやパンジーが道案内。目指すは人工芝スキー場。
標高330メートル。パノラミックに広がる山並み。東は大山、西は比婆山、南は鷹入山を望み、北には島根半島、中海も見える。この絶景を眺めながら今回はグラススキーにチャレンジ。やや緊張ぎみの私を指導してくださるのは、梅木英紀さん。常時2、3人のインストラクターがいて初心者にも親切、丁寧に教えてくれる。しかも日本スキー連盟指導員の資格を持つので、本格的な指導が無料で受けられる。

写真
山頂からの眺めは最高

写真この人工芝スキー場はアストロゲレンデといい、芝足が長めの人工芝を一面に敷き詰めたもの。上からゲレンデを眺めたときよりも、実際に触ってみると随分硬いのだが、雪スキーにより近い感触が味わえるという。ゲレンデの長さは200メートルで、幅は30メートル、一人乗り専用リフトを備えている。とてもコンパクトな感じ、まるで箱庭のようにも見える。スキーの板や靴はまったく普通のものを使用する。もちろんレンタルもある。
「それじゃあ早速滑ってみましょう。最初はワックスを付けないで。」「はい。」プルークボーゲンの構え、いざっ「えーっ。先生、滑りません。」ゲレンデの斜度は平均16度ある。滑り出しのところは19度くらい、雪の上ならば決して初心者コースではない。にもかかわらずスキーは滑ってくれない。スキー板のメンテナンスを怠りがちな私は、以前雪山を滑り降りる途中に、スキー板が滑らなくなるという大失態を演じた事がある。「またもやお前もか。」自分の横着は棚に上げ、板を責める。「人工芝は雪よりも抵抗が大きいですからね。」梅木さんの声がする。「なあんだ、板のせいではなかったのか。」ということはこの斜度で初心者も十分いける。
とにかく、1回目は滑らないスキーで滑り降りた、というより梅木さんに引っ張ってもらった。2回目からは板に水性のワックスを付ける。快調、快調、結構滑るではないか。さらに滑りやすくするため、時々ゲレンデ脇のスプリンクラーから水が放たれる。運が悪ければ水をかぶる。夏は水を浴びながら滑るのも、ここのスキーのだいご味である。でもまだ寒い。水浴びは遠慮しておこう。
基本は雪の上と変わらないが、ついつい肩に力が入っている。緑のゲレンデが迫ってくるような、圧迫感があるのだ。「目線は離して遠くを見るように。」的確なアドバイスをいただいてはたと気付く。そうだこの景色を楽しまなくては、せっかくの春スキーなのだ。リフトに乗り、板の間の足元を見下ろす。青々と色付き始めた草や木、すみれやタンポポがひょっこり顔を出している。萌(も)え出る春とはまさにこんな季節なのか。空気の中にも春が充満していて、味わって呼吸しなくてはと、そんな気持ちになる。
写真少し慣れるとスピードが出てきた。コツはエッジを効かせないで、滑りやすくすること。素朴な疑問を梅木さんに投げ掛けたくなった。「あのう、転ぶとやっぱ痛いですよね。」「摩擦でやけどをする場合があります。気をつけてください。」人工芝スキーの鉄則は夏でも「長袖長ズボン、手袋着用のこと」である。この日滑っていた人たちはみんな上手だった。雪スキーのシーズンオフのトレーニングに来ているらしい。広島方面からわざわざやって来る人も多い。だが、グラススキーの魅力は、なんと言っても初心者でも軽装で気軽に楽しめ、自然を満喫できる点にある。
うっすらと汗ばむくらい滑った。リフトの上では、大声でスキーの話に花を咲かせた。伯太和牛のバーベキューにも舌鼓を打った。思いっきり「グリーンリゾート」気分を味わった。春の訪れをからだで感じながら、ますますスキーにのめり込んでしまいそうなあぶない予感がするのであった。
(ルポ:金築かなえ)
地図 ◆上の台緑の村
 Tel.0854・38・0022

〒692-03 島根県能義郡伯太町赤屋
無休。管理事務所8:30〜17:30
施設概要/コテージ、テントサイト、バーベキューハウス、マウンテンバイクコース、スーパースライダー、人工芝スキーゲレンデ、トリムコース、シャワー、多目的交流センター、野菜市場
レジャーリフト運行時間/日曜、祝祭日、第2・4土曜10:00〜16:00
使用料/入場料200円・リフト1回200円・ゲレンデ使用料保険料1,000円・貸スキー板800円・貸靴400円(大人料金)

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