私と島根   しまねの魅力

私が島根県を数年ぶりに訪れたのは、平成6年の秋のこと。久しぶりの山陰に胸を踊らせながら、今度はどんな島根に出会えるのか、訪れる前から楽しみな旅でした。
そのときは、映画による地域の文化振興を目的に開催された「しまね映画祭'94」のトークショーのゲストとして大田市と浜田市を来訪。会場の皆さんの映画に対する興味と関心の深さに驚きました。また、実際に言葉を交わしてみると素朴で温かい人柄が心に染み、とてもうれしかったことが思い出されます。
まだ一度も訪れたことのなかったときの島根のイメージは、細長く、海や山々、そして水が美しい県であるといったところでしょうか。そして出雲には縁結びの神様をまつる「出雲大社」、また簸川平野には「築地松」の風景、松江には嫁ケ島の浮かぶ「宍道湖」があり、お茶や和菓子のおいしい「お茶処」ということなどを知っていました。しかし、訪れる度に、そのほかにも多くの魅力があることに気付かされます。
たとえば、古来、万人に親しまれてきた玉造温泉。出雲国風土記に、「一度濯(すす)げば形容正端(かたちきらきら)しく、再び浴すれば、萬病悉(よろずのやまいことごと)に除(のぞ)こる」とあり、清少納言も「枕草子」でこの温泉を記していたとか。温泉街の華やかなにぎわいとはうってかわって、静かにゆったりと流れる時の中で、体中をやさしい湯に包まれたときの安らぎは忘れられません。
そして、日本海の荒波にもまれ身の引き締まった魚料理、身がぷりぷりした宍道湖の大きなしじみの味噌汁、さらに手打ちの出雲そば。これは目の前で実演を披露していただき、その包丁さばきを拝見。どれも絶品で、海の幸、山の幸ともに恵まれた島根の味覚をたんのうしました。
こうしてみるとさまざまな魅力にいつも出会っているのですが、印象深いのは、やはり「人」との出会いです。中でも、私と島根の縁を取り持ってくださった東宝映画の先輩、勝部義夫氏。何十年ものお付き合いです。現在は大田市に在住で、「しまね映画祭」の企画委員長を務めるなど、活躍していらっしゃいます。そして、石見銀山で知られる大田市大森町にある「中村ブレイス」の社長夫妻は、"星由里子島根県後援会長"を務めてくださっており、旅行をご一緒するなど、楽しいお付き合いが続いています。このように、私にとって島根は、いつも新しい発見と出会いがある地なのです。

大田市大森町の町並み
大田市大森町の町並み


星由里子ほし ゆりこ
女優。東京生まれ。昭和33年宝塚歌劇団東京公演にちなんで公募された「シンデレラ娘」に選ばれ、翌年、東宝映画の「すずかけの散歩道」でデビュー。昭和35年「お転婆社員」で製作者協会新人賞を、昭和42年には「千曲川絶唱」でミリオン・パール賞を受賞。その後「虹の橋」など数々の映画に出演。また舞台、テレビ各局のドラマで活躍するほか、平成元年から4年間は、ワイドショーの司会を務めた。また、今年秋から民放テレビにて連続ドラマ出演の予定。
星由里子

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