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ものづくり・しまねのマイスター

島根には、独自の技術により、国内外で高い評価を得る企業や伝統工芸品があります。携わる人々を通して「島根のものづくり」の魅力を紹介します。


杉原光弘さん・島根県鐵工会(松江市)

今回は、島根県鐵工会の杉原光弘さんです。鉄骨の耐久性を高めるために溶接工としての技術と知識を磨き、溶接管理技術者の特別級や、非破壊検査技術者技量認定試験(NDI)最上位級のレベル3を県内で初めて取得。理論に裏打ちされた溶接技術の大切さを、後進に伝えています。


滑らかな手つきで鉄鋼を溶接する杉原さんの写真
滑らかな手つきで鉄鋼を溶接する杉原さん


保護マスク越しの狭い視野の中、溶接棒をリズミカルに動かす杉原さん。金属が焼けるバチバチという音とともに、鉄鋼板のつなぎ目がみるみる溶けてくっついていきました。「腕のいい溶接工は、よそにいっぱいいる」と話す杉原さんですが、「不良品をつくらない」ことにかけては人一倍のこだわりを持っています。

杉原さんが溶接工になったのは、30歳のとき。当時は建築ラッシュで、鉄骨の製造依頼が次から次へと舞い込んでいました。そんな中で気になったのは、出荷前の検査で強度不足の不良品が見つかること。「溶接のときにできた微細な空洞のせいだ」。そう考えた杉原さんは、同僚の協力を得て溶接方法の実験を繰り返し、超音波検査法も独学で習得。やがて、5%台だった欠陥発生率を1%未満まで大幅に改善させました。このことが、「勘や経験に頼るだけではなく、科学的理論の裏付けが大切」という、杉原さんの「マイスター」としての核をつくっていったのです。

「建物を支える鉄骨の溶接には、人の命がかかっている。絶対に失敗があってはならないんです」。その思いから、現在は溶接工の技術力向上や若手の育成に当たっています。技術について相談が寄せられることも多く、ときには異なる素材同士の溶接や極薄素材の溶接など、これまでに経験したことのない“難問”に挑むことも。「さて、どうやったらうまくつながるか」と思考を巡らす姿は、いかにも楽しげです。


高校生に溶接の技術を指導する様子
高校生に溶接の技術を指導


杉原光弘さんの写真
杉原光弘さん


溶接に使う保護マスクと溶接棒の写真
溶接に使う保護マスクと溶接棒


●お問い合わせ
島根県鐵工会(TEL:0852・24・2156)




お問い合わせ先

広聴広報課

島根県政策企画局広聴広報課
〒690-8501
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【FAX】0852-22-6025
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