日本三大船神事・ホーランエンヤ
今年、松江の初夏を彩るのは、日本三大船神事のひとつ「ホーランエンヤ」だ。
正式名を「城山稲荷神社式年神幸祭」という。松江城山にある城山稲荷神社の御神霊を御座船に遷(うつ)して10キロほど川を下り、阿太加夜(あだかや)神社で五穀豊穣を祈願。そして再び城山稲荷神社にお返しするという神事である。
松江を南北に分かつ大橋川には、「大橋」と名のつく橋が架かる。大橋、新大橋、宍道湖大橋、くにびき大橋−−。江戸時代に初代の大橋が架けられて以来、あまたの人が橋の上に足を留め、宍道湖に沈む夕日や、湖上に打ち上がる花火を眺めてきた。そして今年、橋の上の観衆を賑わせるのは10年に一度の「ホーランエンヤ」だ。
往路となる渡御祭(とぎょさい)の日。城山稲荷神社の御神霊は陸(おか)行列で大橋川の河畔に到着する。ここから先は船の旅。5つの地区が仕立てた100隻もの船団が神幸(しんこう)を守る。
1キロに渡って連なる船行列の中には、ひときわ目を引く船がある。地区の名を染め抜いたのぼりと宝珠を掲げ、吹き流しや小旗で装飾した5隻の「櫂伝馬船(かいでんません)」だ。この船に乗り、音頭取りと櫂方(かいかた)の「ホーオオエンヤ」「ホーランエーエ」という掛け合いに合わせて踊る役者こそ、この日の花形である。
船首に立つ「剣櫂(けんがい)」が、剣をかたどった櫂を突き上げて大見得を切れば、船尾ではあでやかな衣装の女形「采振(ざいふ)り」が、酒だるの上で大きく体をのけぞらせ、采を振る。
この「剛」と「柔」の踊りの対比に加えて、5隻の櫂伝馬船が競い合うように見せ場をつくる。船を出す地区ごとに、少しずつ異なる踊りや歌の節回し、衣裳も見どころだ。
5月の陽光に輝く大橋川をゆく、きらびやかな船団の一大絵巻。今年を逃せば、次は10年後だ。
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