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平成22年県民残存歯調査結果概要

 

島根県歯と口腔の健康を守る8020推進条例第7条の歯科保健に関する実態調査として、平成22年県民残存歯調査を実施しました。この調査は、平成13年、平成17年に続き、3回目の実施になります。

 

(1)調査方法

1)歯科医療機関患者調査

平成22年7月1日〜31日に、島根県歯科医師会員が開設する歯科医療機関で治療を受けた20歳以上の患者を対象に調査しました。

2)市町村歯科健診受診者調査

平成22年4月1日〜8月31日に歯科健診を行った市町村に協力をもとめ、20歳以上の受診者の歯科健診結果を収集しました。項目は「住所地」、「年齢」、「性別」、「残存歯数」、「4mm以上の歯周ポケット(以下、歯周ポケット)の有無」、「糖尿病の有無」、「喫煙しているかいなか」、「主観的な咀嚼状況(良い・普通・悪い)」、「義歯使用の有無」を調査しました。

調査対象者数は27,425(男性12,051名、女性15,374名)、平均年齢は58.07±16.76歳(男性58.49±16.33歳、女性57.75±17.08歳)でした。年齢分布は図1のとおりで、60〜64歳、70〜74歳、65〜69歳の順に多い状況でした。なお、本調査の対象者数は、平成22年の島根県の20歳以上推計人口の5.0%でした。

年齢階級別調査対象者数のグラフ

 

(2)結果

1)残存歯数の状況

図2に年齢別一人平均残存歯数を示しています。親知らずを除くとヒトの歯は全部で28本あります。39歳まで28本以上の歯数を維持していますが、40歳以降歯の数は減少し、63歳で丁度20本となり、67歳まで20本を維持しています。そして、68歳で19本以下となり、80歳では12本となります。40歳から63歳の23年間で一人平均残存歯数8本が減少していたのに対し、67歳から80歳の13年間で8本減少しており、高齢期の短い期間で壮年期と同程度の歯数を失っていることが確認できます。

年齢別残存歯数のグラフ

 

図3に年齢階級別一人平均残存歯数の年次推移を示しています。全ての年齢階級で残存歯数は増加していました。

年齢階級別一人平均残存歯数の年次推移のグラフ

 

2)歯周ポケットの保有状況(中等度の歯周病に罹患している者の状況)

歯周ポケットがある者の割合は、20歳代で約4割、30歳代で約5割です。それ以降、64歳まで割合は増加し、65歳以上では約7割です(図4)。

年齢階級別歯周ポケット保有者割合のグラフ

 

3)糖尿病、喫煙、歯周ポケットの歯の喪失への危険度

糖尿病、喫煙、歯周ポケットの歯の喪失する危険度の分析を行ったところ、糖尿病、喫煙、歯周ポケットは歯を喪失する危険度を高めることが示唆されましたが、糖尿病の危険度は有意ではありませんでした(表1)。

 

糖尿病、喫煙、歯周ポケットの危険度

 

※歯を喪失する危険度の分析

残存歯28本以上ある者を「歯の喪失経験なし」、27本以下の者を「歯の喪失経験あり」と定義して、糖尿病、喫煙、歯周ポケットがない者を1とした時、それぞれがある者が、歯を喪失する危険が何倍高いかを表す「オッズ比」を算出しました。なお、比較的残存歯数が多く、咬み合わせの影響が少ない35〜44歳、45〜54歳を対象に分析しています。

 

4)65歳以上の状況

65歳以上9,698名の残存歯数別の義歯使用者の割合をみると、残存歯20本以下で7割以上の者が義歯を使用している状況にあります(図5)。

残存歯数別義歯使用者割合のグラフ

 

図6には、残存歯数別の義歯を使用している者と使用していない者との咀嚼状況を示しています。残存歯数15本以上では、義歯を使用している者と使用していない者では咀嚼状況に大きな違いがありませんでした。比較的残存歯数が多い時期は、義歯を使用していなくても噛めることから、歯の喪失が放置されることも多いと考えられます。残存歯数が14本以下では、義歯を使用している者の方が、咀嚼状況が良く、義歯により咀嚼機能が回復しているものと考えられます。

残存歯数別義歯使用別咀嚼状況のグラフ

 

 


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健康推進課