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第3章目標の進捗状況及び分析

1.住民の健康の保持の推進に関する状況

(1)特定健康診査・特定保健指導等の実施率等の中間実績

 国の「平成20年度特定健康診査等結果」によれば、本県の特定健康診査の受診率は43.0%で全国で6位となっていますが、特定保健指導の実施率は最下位となっています(図表6−1、図表6−2)。

 

特定健康診断受診率(全国比較)

 

 

特定保健指導実施率(全国比)

 

 

市町村国保の平成21年度法定報告によると、特定健康診査の対象者数は123,674人、受診者数は44,933人、実施率は、36.3%となっています。

 本県の市町村国保目標値の65%にはまだ達していませんが、各市町村国保が受診率向上に向け取組を行っています。

 同じく特定保健指導の対象者になった人は5,542人でした。そのうち、特定保健指導を終了した者の割合は、914人で16.5%となっています。特定保健指導は未利用者が多く、利用しても中断者が多い状況にあります。

 

(2)目標達成に向けた取組の実績

ア保険者による特定健康診査及び特定保健指導の推進

 特定保健指導実施者の技術向上のための研修会や国保連合会開催の研修に講師を派遣するなど効果的な特定保健指導等が実施されるよう関係機関との連携を図りました。今後も実践事例を取り入れるなど内容を工夫し、継続して実施者の資質向上を図って行く必要があります。

イ保険者協議会の活動への支援

 県は保険者協議会へ指導・助言の立場で参加しました。平成23年度からは保険者協議会の構成団体として、より積極的に関与していきます。また地域職域連携推進協議会等各種会議において情報提供や意見交換をし、問題点の共有に努めました。

ウ保険者における健診結果データ等の活用の推進

 市町村国保から健診データの提供を受け、評価・分析のためのデータベースシステムを作成し、CD版を配布しました。今後はデータをより活用してもらうために、グラフ化等による集計データCD版の活用方法をPRしていく必要があります。

エ市町村等による一般的な健康増進対策・介護予防対策への支援

・メタボリックシンドロームの概念の普及啓発に努め、「メタボ」という言葉は浸透してきました。

・特定保健指導の対象外である者に対しては、脳卒中予防や糖尿病予防という観点からチラシを作成したり、各種委員会を設け情報提供や検討を行いました。

・歯周疾患予防としては、事業所へ訪問し歯科健康教育を実施しました。また、8020よい歯のコンクール等で県民へ普及啓発を図りました。

・がん検診については、がん検診啓発協力事業所登録事業や企業連携事業を通じて、働き盛り世代への啓発を行いましたが、受診者数増加等の評価には至っていません。

・全市町村で要介護状態の維持・改善や悪化防止を目的とした様々な介護予防の取組が実施され、事業の充実や評価の仕組みが整備されつつあります。

・女性の健康支援事業を実施し、女性特有の健康問題である更年期障害等の状況を把握し、パンフレットを作成配布しました。

 今後も関係機関と連携し、課題に取り組んでいく必要があります。

オ市町村における保健活動推進のための人材確保への支援

 生活習慣を改善するための保健指導を充実させ、有病者・予備群を減少させるためには、より積極的な健康づくりへの関与が求められています。平成20年度より市町村保健師数は増加していますが、保健指導を充実させるためにも引き続き人材確保への働きかけを行っていきます。

 

図表7健康増進計画の健康目標値と現状値(抜粋)

健康増進計画の健康目標値と現状値

項目

ベースライン値

現状値

H24年目標値

数値年

性別

数値

数値年

性別

数値

脳卒中初発発症率を低減

(人口10万対年齢調整発症率)

H11〜H14平均

104.5

H19年

122.4

96

71.7

63.6

55

糖尿病有病者数(40〜74歳)を10%減少

H19年

21,655人

H21年

20,855人

19,489人

12,035人

11,694人

10,831人

肥満者数(40〜74歳)を10%減少

H19年

85,866人

H21年

46,178人

77,279人

38,940人

33,643人

35,046人

1日食塩摂取量が10g以下の割合を男女とも60%にする

H16年

33.3%

H22年栄養調査暫定値

40.7%

60%

49.8%

58.8%

60%

残存歯数を増やす

60歳代

H16年

17.7本

H22年

20.8本

22本以上

18.8本

20.6本

22本以上

70歳代

H16年

11.8本

H22年

17.0本

15本以上

12.2本

15.7本

15本以上

 

2.医療の効率的な提供の推進と保険者・医療機関等の連携協力に関する状況

(1)療養病床数と平均在院日数の中間実績

 介護療養病床の転換が進み療養病床全体は減少しています。しかし、医療療養病床が現状で推移する中、医療療養病床の平均在院日数は顕著な伸びを示しています。

 適正化計画における療養病床数の目標は、平成18年度を基準として平成24年度末において1,278床の減(うち介護療養病床1,040床全減)を掲げています。毎年同じ数だけ減少すると仮定しますと平成22年度目標値は1,953床(基準年度に対して852床減)となりますが、平成22年10月1日時点の実数は2,296床であり、目標に届いていない状況です。平成22年4月時点での医療機関意向調査注によると、平成24年度末までに基準年度比較で680床の減少が見込まれます。

 適正化計画における平均在院日数の目標は、平成24年に30.0日(介護療養病床を除く、以下同じ。)を掲げています。これに対し、適正化計画開始前の平成19年が32.5日、以下20年33.0日、21年33.2日となっています。

 

(2)目標達成に向けた取組の実績

ア療養病床の再編成

A平成20年度は、島根県高齢者福祉課に療養病床再編担当を配置し、療養病床意向調査のヒアリングや各医療機関等からの相談を受け付け、支援を行いました。

B療養病床の転換・廃止に伴い行き場のない患者を出さないための療養病床再編セーフティネットワークを平成19年6月に設置しました。

C介護老人保健施設の空床見込み情報については、平成20年度から月に2回、1ヶ月分の空床見込みデータをとりまとめ県のホームページで情報提供を行いました。

D療養病床再編に伴う交付金・助成金制度について周知を図り、平成21年度に2医療機関37床が療養病床転換助成事業交付金を利用して介護保険施設へ転換しました。

イ医療機関の機能分化・連携

 保健医療対策会議等の全県会議や圏域ごとの各種会議を通じて、保健医療計画の着実な推進体制が構築されました。特にクリティカルパスの導入等について意思統一が図られた結果、各種研修会やワーキング会議を開催し、松江・出雲・大田圏域については圏域単位の、浜田・益田圏域については圏域を越えた地域連携クリティカルパスが中間評価時点までに策定されました。

 また、病院や市町村による住民懇談会の開催や地域医療を守るためのシンポジウム等の実施を通じて、地域の医療は地域で支えるという意識の醸成につながりました。今後も引き続き医療の状況について住民に周知していくことが必要です。

ウ在宅医療・地域ケアの推進

Aかかりつけ医等の医療機関の適正受診について啓発活動を実施しました。

 在宅療養を支えるためには、医療と介護の連携による切れ目ないサービスの提供や要介護者に必要なサービスを適切に提供することが重要であり、引き続き在宅療養支援体制の確保に向けて関係者が連携して取組を進めていきます。

B介護サービスの基盤整備として、まず施設サービスについては療養病床から介護保険福祉施設等への転換が進みました。病床転換により整備された施設数は、平成20年度は介護老人保健施設2施設54床、平成21年度は介護老人福祉施設2施設35床です。次に在宅サービスについては、介護予防の推進、医療系サービスの充実、地域密着サービスの充実等の観点から各種研修会を開催しました。在宅サービスの給付費は増加しており、順調に体制整備が進んでいますが、24時間体制に向けた医療系サービスの確保や夜間訪問介護サービスの確保、効率化が難しい中山間地域のサービス確保は今後も課題となります。

 地域支援事業における見守りサービス等の実施状況を踏まえ、市町村や介護保険者との意見交換会を開催しました。今後さらに地域の実態にあった見守り体制が充実するよう、引き続き市町村・介護保険者を支援します。また、適合高齢者専用賃貸住宅は平成21年度末現在で6棟144戸あり、県ホームページで情報提供を行い周知を図っています。

 また在宅医療サービスの充実として、在宅療養移行促進モデル事業を実施し在宅医療へ移行するための課題を調査したほか、緩和ケアネットワーク会議や難病患者・医療的ケア必要児等の在宅支援検討会を開催し、関係者の情報共有や意識啓発を図りました。

3.その他医療費適正化の推進に関する状況

 国保保険者のレセプト点検体制は、平成22年時点で9市町が点検員を直接雇用し、12市町村が島根県国民健康保険団体連合会へ業務委託しています。レセプト点検効果率(レセプト上の総医療費に対する再審査査定額の割合)については、平成19年度から21年度までそれぞれ0.13%、0.14%、0.10%となっています。これは全国平均(それぞれ0.25%、0.26%、0.23%)と比較して半分程度にとどまります。平成21年度数値が全国的に減少した要因として、電子レセプトの普及により単純な誤りが減少したことが想定されます。本県では毎年東部・西部の2会場でレセプト点検員研修を開催するほか、毎年計画的にレセプト点検専門指導員が保険者を訪問し点検方法を指導するなど、点検技術の向上を図りました。レセプト点検については、現在の国保の広域化の動きに伴い、点検員の直接雇用から国保連合会への業務委託に移行する動きが見られます。県は、適切なレセプト点検が実施され保健活動等に活用されるよう、保険者指導を行います。

 医療費通知については、県が実施する保険者指導助言の際に各保険者の状況を確認しています。平成20年度は6市町村、平成21年度は6市町1組合に指導助言を行いましたが、医療費通知を実施していない保険者や回数が基準に満たない保険者が見られたことから、基準回数を目標に実施するよう助言しました。

 薬歴管理による重複投薬の防止等のための医薬分業の推進については、保険医療機関及び保険薬局に対する法定行政指導の機会に適正な運用が図られるよう指導しています。中国四国厚生局の保険指導薬剤師の退職補充が難しく平成21年度は保険薬局指導が実施できませんでしたが、平成22年度には補充されて指導体制は改善しました。

 後発医薬品(ジェネリック医薬品)の利用促進については、差額通知により被保険者に判断のための基礎情報を提供することが有効であるとされ、平成23年度から全国化する動きがあります。本県ではそれに先駆けて、平成22年11月より全市町村国保保険者において国保連合会への事業委託により差額通知を発出しています。

4.医療に要する費用の状況

 本計画における医療費推計(以下「計画推計」という。)では、計画期間(平成20〜24年)における年平均伸び率が自然状態で2.7%、適正化後で2.1%を見込んでいます。これを国保及び老人医療費の実績(図表8)と比較すると、総医療費ベースで平成21年度は国保・老人いずれも自然状態での平均伸び率を上回る状況です。被保険者の増加を自然増とみなして控除した一人当たり医療費で比較すると、老人については2.1%、国保については3.9%となっています

健康目標値と現状値



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