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教育長訓辞〜平成24年度新規採用教職員辞令交付式

 

 ただいま、辞令を交付した百七十六名の皆さんは、今日島根県教職員としての第一歩を歩み始められました。心からお慶び申し上げます。

 これからは、学校現場で、島根の将来を担う子どもたちを育てるという、大切な目標に向けて、着実に歩を進めてほしいと思います。

 

 また、保護者の願いや地域の期待を十分に認識し、教職員としての使命感、社会全体への広い視野、そして教育への熱い情熱を持って、不断の自己研さんに努めていただきたいと思います。

 

 さて、島根県の現状を見ますと、少子高齢化が進行する中、若者の定住や地域の医療、産業等を支える人材の確保など、多くの難しい課題がありますが、その課題を解決するために、教育が果たすべき役割や責務は重く、また教育に対する県民の皆さんの期待も大きなものがあります。

 このような状況の中で、私たちが目指す教育は、「確かな学力・豊かな心・健やかな体」いわゆる「知・徳・体」のバランスがとれ、そして、何よりも自らの地域に誇りを持ち、地域の未来を担う気概を持った子どもたちを育てていくことです。

 

 こうした考えのもとで、現在、力を入れて取り組んでいることを紹介し、また、皆さんへのお願いをしたいと思います。

 

 まず、学力向上の取り組みです。小中学校では、基礎・基本の習得の上で、自ら学ぶ意欲や力を育ててほしいと思います。高校では、そうした力を十分に発揮させるとともに、職業観や社会で自立して生きていく能力を磨くための「キャリア教育」を進め、医師や研究技術者など島根を支える人材の育成につなげてもらいたいと思います。

 

 次に、「読書活動」の推進です。読書による言語活動の充実は、学力の向上はもとより、想像力や感性を磨くなど幅広い人格を形成し、効率優先の社会の中にあっても、多様な観点から考えることができる心豊かな子どもたちを育成することにつながります。

 現在、島根県が積極的に取り組んでいる学校図書館を活用した教育は、全国からも注目されています。今後とも、子どもたちの読書活動をさらに推進していきたいと思います。

 

 また、豊かな心を育む取り組みでは、あいさつ、礼儀、規範意識や思いやりの心などを子どもだけでなく子育てする世代にも身につけてもらうために、学校や公民館等を核として、「ふるまい向上プロジェクト」事業を進めています。広く県民に「ふるまい」の向上が浸透するよう、皆さん方も先頭に立って取り組んでもらいたいと思います。

 

 確かな学力や豊かな心を培う上で、何よりも大切なのは、健やかな体であります。この島根の豊かな自然など恵まれた環境を生かし、子どもたちがもっと運動やスポーツに親しむことができるよう、各学校において、創意工夫をこらした積極的な取り組みを進めていきたいと考えています。

 

 さて、皆さんも御承知かと思いますが、今年は島根の神話が数多く取り上げられている「古事記」が編さんされてから千三百年を迎えます。県では、これを契機として、歴史と伝統に彩られた島根を全国にPRするために、様々な取り組みを計画しています。学校教育では、古代から近世までの島根の歴史・文化を分かり易くまとめた「ふるさと読本」を作成し、学校等で活用してもらうこととしています。皆さんには、島根の歴史・文化の奥深さを子どもたちにしっかり教えていただきたいと思います。同時に、赴任された地域にも目を向けて、それぞれの地域の素晴らしさを子どもたちや地域の方々とともに学んでほしいと思います。

 

 社会環境は急速に変化し、子どもたちの心身の発達にも大きな影響を与え、また、保護者や社会のニーズも多様化しています。皆さんは、これから教育の現場で、様々な困難を抱える子どもたちに出会い、また、思いもかけない難しい課題に直面することもあると思います。日頃からアンテナを高くし、子どもたちを取り巻く状況を十分に認識するとともに、子どもたち一人ひとりに寄り添い、その思いをしっかり受け止め、諸先輩の助言も受けながら、課題を乗り越えていってほしいと思います。

 

 一方、近年、島根の子どもたちの活躍も目立っています。昨年度は、高校総体(インターハイ)で安来高校男子フェンシングと横田高校男子ホッケーが優勝、全国中学校体育大会においては、水泳飛び込みで湖東中学校の須山君が優勝するなど多くの種目で入賞を果たしました。また、文化面でも、三刀屋高校の演劇、斐川西中の合唱などが全国で優秀な成績を収め、出雲商業高校は、神話観光グッズの開発で話題になっています。そのほかにも、日常の学習活動はもとより、様々な分野で頑張っている子どもが多数います。是非、子どもたちの可能性を信じ、その力を伸ばしていってほしいと思います。

 

 最後に、東日本大震災から一年が経ちました。多くの児童生徒や教職員が犠牲となる悲しい出来事でした。未だ復興への道筋は険しいものがありますが、日本全体で様々な面で協力しつつ一日も早い復興を祈りたいと思います。そうした中で、この災害を契機として子どもの安全を確保するための防災教育の充実が強く求められています。今後、学校では、こうした教育にも力を入れて取り組んでいかなければならないと考えています。

 

 冒頭、島根県で育つ子どもたちには、自らの地域に誇りを持ち、地域の未来を担う気概を持ってほしいと申し上げましたが、その動機づけを手伝い、実現に向けて支援していくのが私たちの務めです。皆さんには、これからの長い教職員生活において、常に、このことを心に置いていただきたいと思います。

 

 どうか健康には十分留意され、先輩・同僚や保護者、地域とのつながりを大切にし、御活躍されることを期待しまして、訓示といたします。

 

 

 平成24年4月2日

 島根県教育委員会教育今井康雄


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