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 ダイアリー
 
美術館スタッフよりお届けする島根県立美術館ダイアリーです。
 
2009年6月26日(金) 
 「蘇ったエジプトの至宝」 ●byエジプト展担当学芸員
 

「兵士諸君、ピラミッドの高みから、4000年の歳月が君たちを見守っている。」

エジプト遠征の際、兵士達を前にして語られたという、ナポレオンの有名な言葉です。

この言葉がエジプトの長い歴史を象徴的に表しているように、今回のエジプト展は、

紀元前という時代区分にある、とてつもなく古い遺物に囲まれている展覧会ということになります。

例えば今回の展示の目玉のひとつ、チャイという人物の人型棺を例にとってみると、

「新王国時代第18王朝末期から第19王朝前期」という時代。

これを年代に照らし合わせてみると、およそ紀元前1500年から1200年頃に生きた人

ということになります。今からなんと3000年以上も前の時代のことです。

 

 
                            チャイの人型棺

   
 
展示室で見ることができるこのチャイの人型棺や、もうひとつの展示の目玉、夫婦ミイラが

納められていた箱型棺は、長く地下世界の眠りにあったとは思えぬほど美しく、修復を経て

生き生きとした輝きを取り戻し、平成の現在にその姿を表しています。

特に夫婦ミイラの棺の彩色は細部まで描きこまれ、見事な配色バランスで実に綺麗です。

紀元前に築かれた古代エジプト文明がいかに発達し、感嘆に値する技術や美の概念を

もつものであったのか、これを見るだけでもそれを感じることができます。
 

 
             夫婦ミイラ(妻:セネトイトエス)の箱型棺

   
 
ほかにも、国立カイロ博物館所蔵の貴重な展示品の数々が大きなみどころとなっています。

冥界を司る神々や、聖なる動物の姿をもつ神々の像。エジプト人特有の死と再生の思想を

裏付ける医術道具やミイラ製作台など。ときに生々しくも感じられる生と死の記録が、暗い

展示室内に静かに並んでいます。
 

 
                カイロ博物館所蔵の展示品がズラリ

   
 
ナポレオンに限らず、エジプトという国は歴史上多くの人々の心を魅了してきました。

オリエンタルな異国浪漫をかきたてられるだけでなく、どこか謎と疑問に満ちた不思議な

世界の扉の前に引き寄せられるような妖しさがあり、それに誰しもが魅せられるのかもしれません。

展覧会を見にきたはずが、実は逆に古い歴史の遺物に見守られている・・・。

ナポレオンの兵士ではありませんが、そうした不思議な感覚を肌で感じられるのも今回の展覧会

ならではです。みなさんも是非この機会にご来館ください。

 
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