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大自然の魅力を発信する “インタープリター”と、三瓶を歩く |
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旅のレポーター/澤井真希子(さわい まきこ) しまね観光大使。休日は出雲地方の古代遺跡を散策することが楽しみの一つ。 今凝っているのは料理で、毎日のお弁当作りはもとより本格的な和食にも興味津々。 この春には旬の「タケノコの煮物」に初チャレンジし、レパートリーを増やす。 松江市在住。 |
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三瓶の自然を学ぶ玄関口 島根県立三瓶自然館「サヒメル」 |
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JR大田市駅から車で30分。大山隠岐国立公園に指定されている三瓶山に到着しました。島根県のほぼ真ん中に鎮座し、標高1126mの男三瓶をはじめ女三瓶・子三瓶・孫三瓶と4つの山が連なる三瓶山は、多彩な魅力が凝縮された独立峰として、幅広い層の登山・自然愛好家が多く集う場所です。そんな三瓶を訪れる人たちの玄関口となっているのが、中心施設の島根県立三瓶自然館「サヒメル」で、ここはインタープリターの活動拠点となっています。 「おはようございます!」1階ロビーで迎えてくださったのは、インタープリターのお一人、園山勝さん。「サヒメル」には総勢60名のインタープリターがいますが、園山さんは10年以上の経験を持ち、現在は代表を務めておられます。 島根県内外に在住するメンバーの平均年齢は46歳。下は20代、最高年齢は76歳と幅広く、シニア世代の人や仕事を持つ社会人などプロフィールも様々です。共通するのは、“三瓶愛好家”として専門分野(花・鳥・天文・植物・昆虫など)を持っていることです。ガイドはテーマごとにモデルコース(自然観察・観光)を設定し、訪れる人の要望に沿って、その分野に詳しいインタープリターを配置するそうです。 園山さんの案内で、まずは「サヒメル」内部の展示を見学しました。パネル写真・ジオラマ・CG映像では、三瓶山の成り立ちと島根の大地、そして日本列島の形成までにさかのぼる自然史、その中で動植物がどのように育まれてきたのかがわかりやすく説明されています。また、化石・鉱物・剥製標本など貴重な資料をこの目で見ると、自然の持つダイナミックな迫力が伝わってきます。三瓶の自然を“一枚の絵”のように切り取ったガラス窓から望む「野外観察コーナー」では、双眼鏡で野鳥の姿を確認できます。 また、最上階の「天文コーナー」には4台の大型天体望遠鏡が備えられており、気軽に天体観測を楽しむことができるのです。中でも一番驚いたのは、新館2階の「埋没林コーナー」です。小豆原地区 で出現した3500年前(縄文時代)の巨大なスギが、そのままの姿で展示されているのです。 黒っぽい色をしているのは、三瓶山の噴火に伴う火砕流で焦げたということですが、内部は生木のままというのが不思議です。このように保存処理をしながら公開するというのは全国でも例が無く、全国から見学に訪れる人が多いという点も納得です。 さて、館内見学の終点は、4階のフィールドガイドコーナーの一角、「自然なんでもコーナー」です。「実は、このフロアが三瓶・自然散策のスタート地点なんですよ。」と、園山さん。三瓶山で生息する四季の動植物をはじめとするフィールド情報が盛り沢山で、自然散策のマナーや危険な生物(触れると皮膚がかぶれるウルシなど)についての基礎知識を教えてくれます。また、時季の観察ポイントなどの情報発信や、工作体験(無料)などを通じて自然とふれあう楽しさも教えてくれるのです。工作指導もインタープリターの担当です。この日はクロモジの小枝を使ってペンダント作りにチャレンジしました。和菓子用の爪楊枝として利用されるクロモジの木は、ハーブのような良い香りがします。原型の小枝を手にとったのは、この日が初めてのこと。新しい発見でした。 |
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