2021(R3)年 年報
1.2021(令和3)年感染症発生状況の解析と評価
1)全数把握疾患の発生状況:表1〜3
(1)新型インフルエンザ等感染症
2020(R2)年2月1日に指定感染症に指定された新型コロナウイルス感染症は、2021(R3)年2月13日から新型インフルエンザ等感染症に類型変更された。
2021年は、全国でおよそ150万人あまりの感染者が確認され、島根県では1,554人の報告があった。
(2)一類感染症
全国でも報告がなかった。
(3)二類感染症
二類感染症は全国でも報告があったのは結核のみであり、全国で16,299件、島根県で65件の報告があった。結核の報告数は全数把握対象疾患(新型コロナウイルス感染症を除く)のうち最多である。
(4)三類感染症
全国では、細菌性赤痢7件、腸管出血性大腸菌感染症3,243件及び腸チフス4件の報告があった。
島根県では、2021年に13件の腸管出血性大腸菌感染症の報告があった。2016年以降は報告件数が減少し、10件前後で推移しており、発生状況としては落ち着いている。血清型別では、O157が多い。
血清型 | 毒素型 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 |
6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 |
12月 | 計 |
O16:H5 | VT2 | 1(1) | | | | | | |
| | | | | 1(1) |
O103:H2 | VT1 | | | | | | 3(2) | 1(1) |
| | | | | 4(3) |
O115:H10 | VT1 | | | | | | 1(1) | |
| | | | | 1(1) |
O157:H7 | VT2 | | | | | | 1 | |
| | | | 2(1) | 3(1) |
VT1VT2 | | | | | | | 1 | 1 | |
| | 1(1) | 3(1) |
O169:H9 | VT1 | | | | | 1(1) | | |
| | | | | 1(1) |
合計 | 1(1) | | | | 1(1) | 5(3) | 2(1) | 1 | |
| | 3(2) | 13(8) |
( )内は、無症状病原体保有者の再掲です。
(5)四類感染症
四類感染症は、全国ではレジオネラ症(2,133件)、つつが虫病(544件)、日本紅斑熱(490件)、E型肝炎(460件)の報告数が多かった。
ダニ媒介感染症には地域差が見られ、SFTSは九州、中国・四国地方に多く、日本紅斑熱は関東以西、つつが虫病は東北地方も含んで発生している。
島根県での4類感染症の発生状況は、日本紅斑熱36件、SFTS13件、レジオネラ症7件、つつが虫病7件、E型肝炎1件、オウム病1件の報告があった。ダニ媒介感染症はつつが虫病がやや多く、日本紅斑熱とSFTSは過去最多の報告数であった。
(6)五類感染症
全国では梅毒の報告数が7,978件あり、報告数の増加が続いている。一方で性的接触による感染が多い後天性免疫不全症候群(1,053件)、アメーバ赤痢(537件)は減少している。
島根県での5類感染症の発生状況では、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症が33件で最も多かった。その外、
ウイルス性肝炎4件、後天性免疫不全症候群4件、劇症型溶血性レンサ球菌感染症3件、侵襲性インフルエンザ菌感染症3件、アメーバ赤痢2件、水痘(入院例)2件、急性脳炎1件、播種性クリプトコックス症1件、百日咳1件の報告があった。
(7)動物の感染症
島根県では報告がなかったが、全国では細菌性赤痢のサルが10件、エキノコッカス症の犬が2件、鳥インフルエンザの鳥類が2件報告された。